あるあさ、
こうたくんは、庭でなにかのたまごを見つけました。
そのたまごから?
赤ちゃんが生まれました。
「くぅくぅ」。
こうたくんは、「くうたん」という名前をつけました。
・・・
くうたんは、日に日に、大きくなっていきます。
ふわふわのくうたんは、さわるととてもいい気持ち。
不思議な生き物、くうたん。
部屋いっぱいまで、おおきくなってしまいました。
そして、
ふわふわだったからだが、カチンコチンに。
さなぎになったと疑う おとうさん。
かいぶつになるかもと心配しています。
「ちがうよ」と思いつつ、少し心配になった こうたくん。
「かいぶつに なっていませんように」。
・・・
ばりばりばり
「くぅくぅ」
ふすまを開けると、
はねが はえた くうたんが ふわふわ 飛んでいます。
「わたあめみたい」
でも、窓を開けたとき、くうたんは外へ飛びだし、
空高く 飛んでいって しまいました。
・・・
くうたんが いなくなって
ぼんやりと空を眺めている こうたくん。
一週間がすぎました。
すると……
「くうたんだ! くうたんが かえってきた!」
「くぅくぅ」
くうたんのあかちゃんもいます。
くうたんは、およめさんを見つけて、おとうさんになったのです。
くうたんの絵がかわいい。くうたんという音の響きがいい。くうたんのふわふわした感触も魅力的です。癒し系のキャラクター、くうたん。みんな、くうたんを好きになることでしょう。でも、ふわふわだったくうたんがカチンコチンになる場面は「かいぶつ」になるかもしれない、と読者も少し不安になってきます。
こうたくんだけでなく、おとうさん、おかあさん、おねえちゃんも文と絵の両方でしっかり描かれています。こうたくんの家族の様子を絵で読む楽しさがあります。
・・・
※『 くうたん 』 やぎ たみこ作、講談社 2007年 (2019/11/7)