ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 おとなしい めんどり 』- わたしは ひとりで おかしを たべます !

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働こうとしない者は、食べることもしてはならない
新約聖書「テサロニケ人への第二の手紙」

むかし むかし、
ねこ
いぬ
ねずみ

そして、おとなしい めんどりが、ちいさな家に 住んでいました。
・・・
あるとき、
めんどりが、小麦の種を 見つけました。
だれか この小麦を まいてくれる?

いやだね。 (ねこ)。
いだだよ。 (いぬ)。
いやだな。 (ねずみ)。
じゃ わたしが するわ(めんどり)。

刈取りの ときも
粉にする ときも
お菓子を焼く ときも

いやだね。
いやだよ。
いやだな。

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めんどりは、ぜんぶ ひとりでしました。
さいごに、
お菓子を焼いて、だれか このおかしを たべる ?

ねこ、いぬ、ねずみは
たべる !
たべる !
たべる !  

しかし、
めんどりは、みんなひとりで したのだから、
わたしは ひとりで おかしを たべます !

めんどりは、ひとりで おかしを ぜんぶ食べてしまいました。
それからというもの、仕事が、あるたびに、
ねこ、
いぬ、
ねずみは
めんどりの お手伝いです。
・・・
はたらくことの大切さを 描いた寓話です。身近なあの人に似ている、ねこ、いぬ、ねずみ、めんどり。みんな、生きいきと描かれています。おはなしの中のどうぶつたちは、人間のように話したり、考えたり、行動したりしています。これを「 人物 」と言います。人間だけでなく、『 3びきの こぶた 』のこぶたや おおかみ、『 きりかぶの あかちゃん 』のきりかぶ、『 気のいい 火山弾 』のベゴ石も、みんな「人物」です。つまり、おはなしは、どうぶつなどの姿を借りた 人間のこころと行動が 描かれています。

蛇足ですが、冒頭の聖書のことば、「食べることもしてはならない」と言っているのは、「働こうとしない者」であって、「働きたくても働けない」人のことではありません。
・・・
※『 おとなしい めんどり 』 ポール・ガルドン作・絵、 谷川 俊太郎訳、 童話館出版  1994年  (2917/11/09)

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