ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 おしいれ おばけ 』- 勇気をくれる ぼくの行動

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おばけと聞いて、怖いものを見たい子どもたち。
作中の「ぼく」のこころと行動に共感していきます。
・・・
寝る前に、おしいれが気になる ぼく
おしいれに いつだっている あいつ
戸締りをしっかり。
でも、ちょっぴり怖い ぼく。
ベッドにはいっても、ちろりとのぞく。
でもでも やっぱり怖い。
・・・
ある晩、
ぼくは、あいつをやっつけようとします。
でてきた あいつ。
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手をあげろ!
消えちまえ、うたれたいのか。
おもちゃの鉄砲を ポコン
・・・
あいつは 泣き出した。
おばけのほうが 怖がっています。
「なくなってば!」
「いい子に してなってば!」
あいつをベッドにいれる ぼく。
そして、
もう一度 ちゃんと 戸締り。
ふたりで ベッドで眠ります。
おやすみなさい…… )

暗闇が怖い、おばけが怖い ぼくです。それは読者も一緒。読者の子どもたちは、きっとぼくに共感することでしょう。「あいつ」が出てくるまで、ぼくといっしょに怖い体験をします。でも、怖いもの見たさ。読者の興味は、つぎに起こることに釘付けです。
さて、どうなるのでしょうか。
ぼくは、あいつに向かって勇敢に「手をあげろ」。そして、おばけを手なづけるぼく。おしいれのなぞ、闇、恐怖心、おばけのあいつは、みんなぼくの好奇心と勇気で、コントロールしています。ここにはもう無秩序はありません。読者は、ぼくの行動によって絵本の世界が秩序化されていることに安心感をおぼえることでしょう。不確定な事態から、ぼくがしたように勇気を出して「こうすれば・・・こうなる」のです。

おばけが泣き虫だったり、ぼくの姿と行動にユーモアの味付けもありました。
・・・
※『おしいれおばけ』 マーサ・メイヤー作・絵、今江 祥智訳、偕成社 1987年
【 追 記 】
マーサ・メイヤーの「おばけ」シリーズ
・『 ほんとだってば 』 今江祥智訳、偕成社(1988年)
・『 やねうら おばけ 』今江祥智訳、偕成社(1989年)   (2019/3/17)

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