![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2023/07/-e1688603406437.jpg)
黒い点が、
白い点が、かたります。会話します。
移民の問題、難民の問題・・・が浮かび上がってきます。
・・・
やぁ!
ぼくは 点(黒い点)だよ。
ぼくの世界には、
友だちがいて
ちゃんと住むところがあって、
楽しいことも いっぱいある。
食べものにも こまらない。
こんにちは。
わたしは 点(白い点)です。
わたしの住むところは、 あまり良くありません。
住むところも、
楽しいことも、
食べものも ありません。
そちらのページに行きたいです。
ちょっと まって。
みんなで 決めてからじゃないと。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2023/06/点②.jpg)
じゃ、いいよ。
いくつか どうぞ。
ゆっくり おちついて。
やめて!
もうじゅうぶん!
みんなが こにには おさまらない。
べつの ほうほうを さがさないと・・・
そうだ!
ぼくらが そちらへ いこう。
おてつだいに いこう。
みんな いっしょなら ステキなことが たくさんできるんだ!
わたしたちは 点
ぼくらは みんな 点なんだね。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2023/05/点①.jpg)
黒い点と白い点が象徴することは、移民、難民の問題にとどまらず、格差、ジェンダー、差別、南北問題など、さまざまに解釈することができることでしょう。地球というこの世界のなかで、ともに生きる者同士、認め合い、助け合う心と行動が大切であると語っています。「わたしたち、ぼくたちは みんな (同じ)点」だから。
抽象的な表現です。また、現実的な解決策をここにもとめることはできません。しかし、わたしたちの課題が、はっきりわかります。チェーホフが言っていました。「科学は問題を解決するが、文芸は問題を提示する」。
「一歩近づいて見ると、どの点にもいろんな「かお」があり、
もっとぐんと目をこらすと、色とりどりの「こころ」があります」
訳者の内田也哉子さんの「あとがき」
※『点 きみとぼくはここにいる』 ジャンカルロ・マクリ カロリーナ・ザノッティ文・絵、内田也哉子訳、講談社 2022年 (2023/7/4)