オリビアって、表紙のおんなのこです。どんな子どもなのでしようか。
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さかだち、
ヨーヨー、
ジャンプ、ボール、
かけっこ、
縄跳び・・・
何でもします。
オリビアは、人をへとへとにさせるのが得意。
そして、自分まで へとへと。
(あるある!)
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イアンという弟がいます。
でも、
うるさい、とイアンをおいはらう オリビア。
服を着るとき、ぜんぶ試さないと気がすまない
オリビア。
(あるある!)
海辺で、砂のお城を上手に作るようになる。
お昼寝が 大嫌い。
美術館が 好き。
お気に入りの絵がある。
ドガの踊り子
わけのわからない絵がある。
ジャクソン・ポロックの絵
ポロックを真似して、
自分の部屋で落書きして、しかられる。
お風呂、ばんごはんのあとは、寝る時間。
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絵本がだいすきな オリビア。
かあさんに3冊の絵本を読んでもらいます。
かあさんは、オリビアにキスしていいます。
「ほんとに あんたには へとへとよ。でも なんてったって あいしているからね」
「あたしもよ、なんてたって」
おやすみ・・・
天真爛漫なオリビアの魅力がいっぱいの絵本です。
「ほんもののオリビアとイアンへ」の献辞とあります。ふたりは作者・ファルコナーさんのお子さんでしょう。こぶたのオリビアのモデルは、お気づきのように、きっと「ほんもののオリビア」です。オリビアを見守る、おはなしの中のとうさん、かあさん、弟のイアン、語り手と作者、そして虚構の世界の外にいる実際の両親。人々の温かい目とこころに囲まれたオリビアの世界です。
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おとなの読者は、オリビアの行動を「あるある」と共感し、見守り、そしてちょぴりハラハラしながら、つまり、異化して読んでいくことでしょう。子どもは? オリビアに同化して「オリビアみたいに、やってみたい」でしょうか。でも、同化だけ、異化だけということでもないでしょう。読者のする体験は、両者がないまぜになった「共体験」です。
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※『オリビア』イアン・ファルコナー作・絵、谷川俊太郎訳、あすなろ書房 2001年 (2019/12/20)