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須佐之男の命(スサノオノミコト)が、やまたのおろちを退治する神話です。
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須佐之男の命は、高天原(たかまがはら)にきこえた 荒くれ者。
乱暴のあまり、神々の国から 出雲のくにへ追放になった。
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命(ミコト)は、
肥の河を さかのぼり、
ある村に ついた。
すると、
老夫婦とむすめが、泣いている。
むすめの櫛稲田姫(くしなだひめ)が、
やまたのおろちの生贄にされる話を聞いた。
須佐之男の命は、言った。
「姫を妻にくれるならば、おろちをたいじしてつかわそう」
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命(ミコト)は、
館のまわりに、かき(垣)をめぐらせ、
そのかきに、八つの口をつけ、さじきをゆい、酒をいれた甕を置くように命じた。
「おろちのあらわれるのを まつとしようぞ」
夜、
おろちが、やって来た。
酒を ぐびぐび飲み、
飲みほすと、
おろちは、酔いつぶれ
頭を地面におとすと、津波のような、いびきをかきはじめた。
「いまだ」
命(ミコト)は、
おろちの八つの首を 切り落とした。
おろちの尾から、
まばゆい剣が あらわれた。
須佐之男の命は、
櫛稲田姫を 妻として迎え、
出雲のくにに 住み、
あとつぎにも 恵まれ、
しあわせに 暮らしたということである。
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荒くれ者で乱暴のあまり、神々の国から追放された須佐之男の命の成長物語です。劇的な展開の神話です。「おろち」の像は、文章でも、絵でも、迫力のある生々しい描写です。どこを、どのように描写したらよいのか、描写という表現について学ぶことができます。
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※『やまたのおろち』 舟崎克彦作、赤羽末吉絵、あかね書房 1995年
【追記】
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」
須佐之男『古事記 』
須佐之男のこの歌は、日本最初の和歌とされています。
「幾重にも重なった八重に湧き出る雲が八重垣となる出雲の地において、妻と共に住む」
老人による「やまたのおろち」の描写です。
「まなこはさながら うれたほうずきのようにらんらんと光り 体は一つながら、八つの頭と八本の尾が はえているのでございます。背にはすぎ、ひのき、かずらなどがおいしげり、そのなりの大きいことは 八つの谷、八つの尾根にまたがるばかり。そうして、やけただれたような腹からは、たえず、血がしたたっているのでございます」 (2022/7/8)