水が身近にない、アフリカの厳しい現実です。
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わたしは、プリンセスの ジージー。
わたしの王国は、
アフリカの 空と 土ぼこりの たつ大地。
手をのばせば 星だって つかめそう。
わたしが 歌えば、のらいぬも 歌う。
わたしが 踊れば、くさも ゆらゆら ゆれる。
わたしは かぜと、かくれんぼだって できる。
でも・・・
水を 呼びよせる ことは、できない。
水を きれいに することも できない。
朝はやく、ママが言います。
プリンセス・ジージー、おきる じかんよ。
みずを くみに いきましょう
ずっとずっと とおくまで 水を汲みに いかなければならない。
つぼを 頭にのせる。
ふたりは、歌いながら あるいていく。
途中、カリテの木で ひとやすみ。
また、あるいて あるいて
「かあさん、もうすぐ つく?」
わたしたちより とおくから くる ひともいる。
みんなが 汲んでいるのは
泥の まじった 茶色い 川の水
「ジージー おいで」
わたしたちの 番だ。
かえりみちは、ゆっくりに なる。
からだも 足も いたくなるころ、ようやく 家が見えてくる。
飲み水を わかし、
せんたくを して、
ごはんの 用意を する。
とうさんが、わたしを 抱き上げて ほめてくれる。
寝る前、
わたしは、かあさんに たずねる。
ねえ、どうして みずは とおいの ?
どうして みずは にごってるの ?
どうして うちには みずが ないの ?
わたしは、願います。
冷たくて きれいな みずが あると いいな。
いつのひか きっと・・・
水を汲むために、こんなにも苦労する現実があります。「世界では、10億人くらいのひとが、近くに水がない暮らしをしています。6人に1人が、きれいな水を手にいれることができないでいます」(あとがき)。
このはなしは、スーパーモデルのジョージ―・バディエル(1985年生まれ)さんの実際の体験が元になっています。彼女は、アフリカで井戸をつくる「ライアンの井戸」プロジェクトを支援するとともに、自らも基金を創設し、きれいな水を届ける活動をしています。
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※『みずをくむプリンセス』 スーザン・ヴァ―デ文、ピーター・レイノルズ絵、さくまゆみこ訳 さ・え・ら書房 2020年 (2023/7/28)