
「ふしぎなナイフ」って、どこが不思議なのでしょうか。
どこにでもありそうな一本のテーブルナイフです。
かたくて、
切れる、
ナイフ。
これが常識。
でも、絵本のナイフは形を変え、性質を変えていきます。
まがり
ねじれる
おれる
われる
とける
きれる
でも、「きれる」のはナイフの方です。

ほどけ
ちぎれ
ちらばる
そして、
のびて
ちぢんで
ふくらんで・・・
・・・
ページをめくるたび、ナイフの変化にびっくり Σ(´∀`;) します。常識を裏切る発想に魅力を感じます。
「もし~ならば、どうなるだろう」という発想は、ジャンニ・ロダーリのファンタジーの文法でしたが、 「もし、ナイフがまがったら( ねじれる、おれる、われる・・・ )、どうなるだろう」と発想すると、この絵本から新たなおはなしが生まれるかもしれません。
最後は、ふくらんだナイフがガラスのように割れてしまいますが、絵本の読みかたる場合、もう一度表紙に戻ってみてください。元通りのナイフになります。手品を見ているようになります。また、ページごとにオノマトペをつけてみたら面白いと思います。曲がるところは「ぐにゃ」、折れるところは「ぱきっ」、溶けるところは「どろどろ」・・・
条件を変えると、ナイフがこのように変わるのはありそうなことかもしれません。
※『ふしぎなナイフ』中村牧江/林健造作、福田隆義絵、福音館書店 1997年 (2021/2/27)