たけのこが、ぐんぐん ぐんぐん 伸びて、
さいごには、山奥の村に 恵みをもたらしました。
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山奥の村の、
むかし むかしの おはなし。
「たろや、たけのこを ほってきてくれ」
たろは、
うらの竹やぶで、たけのこを 掘りはじめた。
すると、
たけのこは、
たろを のせ、ぐんぐん ぐんぐん のびだした。
かあさん、とうさん、村びとは、たろを さがした。
「たろやーい」と呼ぶと
上の方から、
「ん……ん」という、たろの声が きこえる。
みんなは、たけのこを 切ることにした。
うざ・・・ ざ・・・
たけのこは、音をたてて たおれていく。
山を いくつも越えて たおれていく。
「そうれっ」
とうさんたちは、たけのこにそって 走っていくと・・・
ひろい砂浜に でた。
海で
みんなは、さかな、こんぶ、貝を 手に入れた。
これからは、たけのこを 伝って 海に行ける。
みんな ながいきで、しあわせに くらした。
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モノクロページとカラーページが交互に繰り返され、テンポよく展開します。ドキドキの絵本体験です。
たけのこが伸びる場面は、迫力があります。ぐんぐん伸びたり、倒れたりするたけのこを、画面いっぱい使ったダイナミックで動きのある絵です。縦開き、横開きにして、タケノコの大きさを強調しています。
たけのこの生命力が、山奥の村とあたらしい世界(海と海の恵み)をむすびつけました。子どもたちよ、たけのこのようであれ。
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※『ふしぎなたけのこ』 松野正子作、瀬川康夫絵、福音館書店 1966年 (2024/5/3)