ふるはしかずおの絵本ブログ3

『どんなかんじかなあ』- ひろくんの世界

目が見えないこと、

耳が聞こえないこと、

両親がいないことって、

どんな感じかなあと想像するひろくん( ぼく )。

      ・・・

ともだちの まりちゃんは 目がみえない
ぼくは、考えます。

見えないって、どんな感じかなぁ。

目をつむってみました……

     

いろいろな音が聞こえてきます。 
「みえないって すごいんだ。あんなにたくさん きこえるのだものね」。

「ひろくんって、かわってる」

      ・・・

ともだちの さのくんは 耳が聞こえない

聞こえないって、どんな感じかなぁ。

耳をふさいでみると……

   

ぼくは、

お母さんのほくろの数をはじめて知りました。

ななつ あったんだね。

「きこえないって すごいんだね。あんなにたくさん みえるんだものね」

さのくんは、ぼくの口を見て、ぼくが言ったことがわかりました。

「ひろくんって、かんがえすぎ ー 」

ともだちの きみちゃんは、お父さんもお母さんもいない

神戸にいたとき、大地震で死んじゃったんだって。

それって どんな感じかなぁ。

でも、ぼくには、わかりませんでした。

「さびしい?」

「そうでもないよ」

ほんとかなあ

「ほんとだよ」

       ・・・

つぎの日、

きみちゃんが言いました。

1日じっと 動かないでいてみたの。

どんなかんかなあ、と思って。

「うごけないって すごいんだね。」

たくさんのことを考えたよって、きみちゃんは言ってくれました。

「ひろくんは がくしゃみたいなんだね」


てれるぼく。

そうかもね。

うごけないって すごいことかもしれないね。

ひろくんは、車椅子を使っています。自分でうごくことができないのです。

目が見えないって、耳が聞こえないって、どんな感じかなぁと想像するひろくん。そのひろくんは、身体をうごかすことができません。このことが明らかになる最後が衝撃的です。身体をうごかすことができないひろくんのことを、わたしは想像していませんでした。ひろくんの中に自分を見る、また自分の中にひろくんを見るとき、ひろくんのように率直に言えるだろうかと考えます。
また、イラストレーターの和田誠さん(1936 – 2019)は、昨年亡くなられました。ユーモラスでほのぼのとした絵、力みのない和田さんの絵が好きでした。

      ・・・

※『 どんなかんじかなあ 』 中山千夏文、和田誠絵、自由国民社 2005年  (2020/1/11)

SHARE