メーベルの活躍とケーブルカー廃止反対運動がかれています。42ページもある、長いはなしですので、だいぶ端折ります。
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メーベルは ケーブルカーです。
サンフランシスコの 坂道を チンカン・・・チンカン 走ります。
どんなに 坂が急でも、
どんなに お客が おおくても
いつも げんき
いつも しんせつ
メーベルは、かねを ならして うたいます。
朝から 夜おそくまで はたらきます。
サンフランシスコの町は どんどん 変わっていきました。
ある日、
「そこ どいた、どいた…… ふるぼけ ケーブルカーの おちびさん」
バスの ビック・ビルが どなりました。
ケーブルカーは、もうからない、
なくしてしまうと
市会議員が いってるぞ。
「ああ・・・いったい なんてこと」
メーベルのこころは 沈んでいきました。
ケーブルカーは、廃止されようとします。
ケーブルカー好きの 人たちは
「サンフランシスコの ケーブルを まもる しみんのかい」をつくり、
活動を はじめました。
ケーブルカーを 廃止するかどうか、
住民投票に かけられることになりました。
賛成派も
反対派も
いっしょうけんめいです。
結果は?
3対1
ケーブルカーは 存続することになりました。
みんなは、メーベルを 花で飾りました。
メーベルは 言いました。
「わたしたちの じだいは おわっていない。
いま はじまったばかりよ・・・」
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メーベルは、悪口を言ったバスのビック・ビルとも、最後は仲直りをします。「おめでとう。・・・きみのさかは、ぼくには きゅうだし、雨の日は とても すべですりやすいんだ」「ありがとう。なかよくしましょうね」とメーベルは、鐘を鳴らしました。
「サンフランシスコに、はじめてケーブルカーが走ったのは、1887年8月1日のことでした」(まえがき)。文中の「わたしたちの じだいは おわっていない。いま はじまったばかり」ということは、ケーブルカーのことに限りません。「わたしたち」を「あなたたち」と読みかえれば、読者にむけてのメッセージです。また、おはなしの中に、ケーブルカーの仕組みと働きの説明もあります。
『いたずらきかんしゃチューチュー』『せいめいのれきし』のバージニア・リー・バートンの例によって、細部にまでこだわった丁寧な絵本づくりです。
「ケーブルカーの構造と 交通の発達を教え、民主主義の原理や手続きを、
子供たちにわかりやすく伝える絶好の絵本といえましょう」
(訳者の桂宥子さんのあとがき)
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※『ちいさいケーブルカーのメーベル』 バージニア・リー・バートン作、かつらゆうこ、いしいももこ訳 ペンギン社 1980年 (2024/3/16)