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マーガレット・W・ブラウンの文章、ジーン・シャローの絵、与田準一の訳の絵本です。3人の名前が興味を引きます。乗り物絵本です。
・・・
2台のちいさな機関車が、はしります。
最新式の機関車と古いちいさな機関車です。
西にむかって出発です。
こんな音をたてながら ……
最新式の機関車は、ぱふぱふ ぱふぱふ。
古いちいさな機関車は、ちゃぐちゃぐ ちゃぐちゃぐ。
・・・
トンネルを とおり抜ける、
ぱふぱふ ぱふぱふ。
ちゃぐちゃぐ ちゃぐちゃぐ。
にしに向かって、
ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ。
・・・
川を渡り、
ぱふぱふ ぱふぱふ。
ちゃぐちゃぐ ちゃぐちゃぐ。
にしに向かって、
ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/08/20210830_133019-2.jpg)
雨が降るなか、
雪が降るなか、
月にてらされ、
朝日のなかも、
汽車はならんで、
にしに向かってはしります。
ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ。
・・・
風が吹き、
ほこりが飛ぶなかを、
険しい山ものぼり、くだり、
2だいのちいさな汽車は、
ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ。
・・・
ながい ながい旅でした。
くたびれた きみと ぼく。
あかるい うみに つきました。
たのしい うみに きたのです。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/08/20210830_133041-2.jpg)
ぱふぱふ、ちゃぐちゃぐというユニークな音。その繰り返しが心地よく感じます。読みかたりの楽しい絵本です。リズム感のある文章(訳文)は、マーガレット・W・ブラウンの絵本の特徴のひとつです。
また、呼称の変化もおもしろい。「2だいの ちいさな きかんしゃ」「さいしんしきの きかんしゃ」「ふるいちいさな きかんしゃ」から、「きしゃ」「ちいさな きしゃ」「ふたつの きしゃ」、そして最後に「きみと ぼく」と人称代名詞に変化し、「2だいの ちいさな きかんしゃ」が人間のようになっていきます。
「2だいの ちいさな きかんしゃ」が西へ西へと進むのは、大陸横断鉄道のことかも知れないと想像してみます。 「あかるい うみ 、たのしい うみ 」というのはカルフォルニアの西海岸のことでしょうか? そのように想像してみると、スケールの大きな話になります。
「きみと ぼく」は、
いつも「ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ」
と並んで走ります。
・・・
※『せんろはつづくよ』 マーガレット・W・ブラウン文、ジーン・シャロー絵、与田準一訳 、岩波書店、1979年 (2021/9/30)