プロローグ、雪が降るまえ、雪が降ったとき、雪がつもったあと、エピローグ。はじめ、つづき、おわりの構成がしっかりしています。
登場人物は、
ゆうびんやさん、
おひゃくしょうさん、
おまわりさん、おくさん、
こどもたち、
うさぎ。
・・・
プロローグ。
ふうわり、
おっとり、
しろいゆき あかるいゆきが ふってきます。
おともなく、
こおれる ちじょうに
みちをおおい かきねをかくし・・・
(詩的な文章です。訳文のとおり全部書きたいのですが。)
・・・
雪がふる前。
雪になりそうだなと ゆうびんやさん、
雪の匂いがするぞと おひゃくしょうさん、
どうやら雪らしいと おまわりさん、
つま先がいたくなる おくさん、
大慌てで はしる うさぎ、
灰色の空を見あげる こどもたち。
雪が降りはじめると。
ゆうびんやさんは、ゴムぐつを はき、
おひゃくしょうさんは、雪かきのシャベルを とりにいきます、
おまわりさんは、コートのボタンを しっかりしめます、
おくさんは、咳止めのくすりを たしかめます。
雪での中であそぶ こどもたち、
土の中にかくれる うさぎたち。
・・・
雪でみんなうずまりました。
街灯に照らされてキラキラとかがいています。
足をすべらす ゆうびんやさん、
雪かきをする おひゃくしょうさん、
ぐっしょり濡れた おまわりさん、
おまわりさんの胸に湿布を貼る おくさん、
温かい巣のなかの うさぎたち、
雪の夢を見る こどもたち。
・・・
雪がつもったあと。
ゆうびんやさんは、ブーツを はき 、
おひゃくしょうさんは、牛の乳搾りを します、
おまわりさんは、寒気がしてベッドで 休みます、
おくさんは、おまわりさんの襟巻きを あみます、
雪の中にはねまわる うさぎたち、
雪だるまをつくり、雪合戦をする こどもたち。
・・・
雪がとけます。(ここも詩的な文章です)
・・・
エピローグ。
ゆうびんやさんは、のんびり配達、
おひゃくしょうさんは、牛たちを小屋から出します、
おまわりさんは、風邪が治りました、
おくさんは、クロッカスを見つけます、
うさぎは、はねまわりました。
はるがきた、
と、そのとし さいしょの こまどりが、
こどもたちにいいました。
・・・
絵本の構成にそってあらすじを紹介しました。トレッセルトの文章は、構成がしっかりとしていて、それでいて情感のある、詩情あふれる文章です。江國さんの翻訳からそれを感じます。( 原文を読まずに言うのは申し訳ありませんが、きっとそうなのだと思います。)
最後は、雪が溶け、春を迎えます。
読後感がとてもいい本でした。1948年のコルデコット賞受賞作品です。
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※『しろいゆき あかるいゆき』アルビン・トレッセルト作、ロジャー・ジュボアザン絵、江國香織訳、BL出版、1995年
【 追 記 】
アルヴィン トレッセルト Alvin Tresselt( 1916 – 2000 )
米国の絵本作家,編集者。M.W.ブラウン、L.ワイズガードとともに1940年代末から50年代にかけて、新境地を開発した作家として認められ、’52年幼児雑誌「ハンプティ・ダンプティ」を創刊し、編集を手がけた。ファンタジー、民話絵本のほか、’48年度コールデコット賞受賞した「しろいゆき、ひかるゆき」(’47年)などの自然を題材にした作品も多くある。 ( コトバンク) (2021/2/23)