ふるはしかずおの絵本ブログ3

『しろいうさぎとくろいうさぎ』- 満月の夜の結婚式

しろいうさぎと くろいうさぎの 愛のはなしです。

     ・・・

しろいうさぎと くろいうさぎが 森に住んでいました。

二ひきは いちにちじゅう 楽しく遊びました。

 

 「うまとびしない?」

 「うん、しよう」

 

ふたりは、

かくれんぼ、

かけっこ、

雛菊を とびこえる 遊びをしたりします。

 

でも、

あそびの度に、

くろいうさぎは 悲しそうな顔を します。

 

 「どうかしたの?」

 「うん、ぼく、ちょっと かんがえていたんだ」

 「なにを そんなに かんがえているの?」

 「いつまでも、きみといっしょに いられますようにってさ

  

 「ほんとに そうおもう?」

 「ほんとに そうおもう」

  

 「わたし、これからさき、いつも あなと いっしょにいるわ

 「いつも いつも いつまでも?」

 「いつも いつも いつまでも!」

 

しろいうさぎは、しろい手を さしのべ、

くろいうさぎは、その手を そっと にぎりました。

二ひきは、たんぽぽの花を摘んで 耳にさしました。

   

 満月の夜です。

 

うさぎたちが やってきました。

しろいうさぎと くろいうさぎを囲んで 結婚式のダンスを 踊りました。

森の どうぶつたちも やってきました。

みんな 一晩中、踊りました。

二ひきのうさぎは たのしく くらしました。

くろいうさぎは けっして かなしそうな顔を しませんでした。

しろいうさぎとくろいうさぎの会話にみるように、愛をテーマにした直球の絵本です。

 

美しい絵です。ふたりの楽し気な表情、くろいうさぎの悲しそうな顔、目をまん丸にするくろいうさぎの表情、結婚式のふたりの幸せな表情などが わかります。人物の表情を描いたこうした絵を見ることで、子どもたちは、人間のいろいろな心が わかっていくことでしょう。

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※『しろいうさぎとくろいうさぎ』 ガース・ウィリアムズ文・絵、まつおかきょうこ訳、福音館書店 1965年  (2023/4/8)

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