ふるはしかずおの絵本ブログ3

『海がやってきた』- 浜辺で遊ぶぼく

海がやってきた」って、海は人間のようにやってくるものでしょうか?

タイトルの仕掛けです。でも、そのわけは、読んでみるとわかります。

     

     

朝はやく

男の子が 海のほうへと あるいていきます

だれもいない 浜辺

男の子が 一ばんのり

    

 イソシギが 一羽

 カニが 一匹

 飛びはねる ハマトビムシ

 ハマグリが ひとつ

   

 「ぼく、探検家だよ

 砂浜の いちばん はしっこを さがしにいくんだ」

    

    

海辺でひろった 貝がら

耳にあてると 海のうたが 聞こえる

満ち潮は

音もなく しだいしだいに 砂浜に あがってくる

    

男の子は

白い砂浜で 砂の お城をつくる

    

 「ぼくは 騎士なんだ・・・

 高い塔と 塀をつくって、海を とおせんぼするんだ」

     

     

 すてきな お城だよ

 塔の てっぺんに 海草の旗

 中庭には、ハマトビムシの姫

 堀と はね橋が、敵たちから 姫をまもっている

     

    

けれども、

波は、塀よりも 高くなり

海は、ハマトビムシを とりかえす

おおきな寄せ波が、砂浜と人びとに おそいかかる

浜辺のひとたちの ビーチタオルと パラソルを 追い散らす

   

 やっほー!

 ぼくが、一ばんだよ! 一ばんのりで きたんだよ!

 ぼくは、海がやってくるのを 見たんだよ!

     

男の子は、波うちぎわの 白い砂に

じぶんの名まえを 書く

   

 ティモシー ロビンズ

    

      

浜辺で遊ぶ「ぼく」は、探検家、騎士です。

砂のお城をつくり、「うみを とおせんぼするんだ」と海を擬人化しています。「ぼく」は、潮が満ちてくるようすを「海がやってくるのを 見たんだよ」と表現しています。その言葉には、浜辺に一番乗りしたティモシーくんの誇らしい気持ちも込められていることでしょう。

     

紹介文では省きましたが、浜辺には、たくさんのものや音があることをトレッセルトの文章が表現しています。海辺を彩るものたちです。

やわらかな灰色の霧、野バラ、なめらかな砂、沖の灯台船、霧笛、ブイの金の音、魚を救い上げるカモメ、ピンクと白にうずまいた貝がら、ヒトデ、ヤドカリ、白い帆のヨット、鳥の羽、カブトガニ、イワシやアジをねらう釣り人、イソシギ・・・が描かれています。

           ・・・

※『海がやってきた』 アルビン・トレッセルト文、ロジャー・デュボアザン絵、やましたはるお訳、BL出版 2007年

 

【追記】

海辺で遊んでいた子どもの足に、波がよせてきました。幼児は、思わず、「うみにかまれた」。静岡なかはら幼稚園のつぶやきことば集にみつけた言葉です。

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