ふるはしかずおの絵本ブログ3

『かちかちやま』- 民衆の厳しい倫理観

「かちかちやま」の絵本は数多くありますが、

この絵本は、残忍で非情な場面(場面1、2、 3、4)をしっかりと語っています。

     

      

場面1 ばあじる

   

じいさまが たぬきを 捕まえます

  

 「ばあさま ばあさま。たぬきじる こさえてくれ
      

ずるがしこい たぬきは、

じいさまの留守に ばあさまをだまして 殺してしまいます。

そして、ばあじるをつくり、じいさまに ばあじるを 食べさせるのです

     

ばあさまを 殺された じいさま

うさぎが やってきます

うさぎは、わけを 聞き

 

 「よし、わたしが きっと、かたきを とってやる」

     


場面2 たぬきの背中の萱に 火をつける場面

     

冬に 備えて かやを刈る うさぎ

たぬきも かやを 刈ります

うさぎは 火打石を かちかち

 

 「うさぎどん。かちかち いうのは なんの おとかな」

 「このあたりは かちかちやま。かちかちどりの なきごえさ」

    

うさぎは

たぬきの 背中の かやに 火を点けます

あつくて あつくて がまんできない たぬき

かやを 投げ捨て、逃げていきました

  

   

場面3 やけどをした たぬきの背中に とうがらしを塗る場面。

  

うさぎは、

とうがらしの実を すりつぶして

たぬきの 背中に ぬりこめます

たぬきは、

いたくて いたくて 

ころげまわり、逃げていきました

       

    

結末の場面4 たぬきの 土の舟を 川に沈める場面

   

魚取りに 出かけるとき、

うさぎは、じぶんの舟は 木で作り

たぬきには、土の舟を 作ってやります

 

 「きのふね ぽんこらしょ」

 「つちぶね ざっくらしょ

     

たぬきが、ふなべりを たたいると、

土のふねは くずれ

たぬきもろとも 沈んで しまいましたとさ

 

 どんどはらい

    

      

たぬきは、ばあさまを殺し、ばあじるにして、じいさまに飲ませました。極悪非道のたぬきです。このことがあるからこそ、たぬきの背中の萱に火をつける → やけどをしたたぬきの背中にとうがらしを塗りつける → 川に沈めて殺してしまうという、うさぎの行為が正当化されてきます。厳しい罰を下すうさぎの行為に、「かちかちやま」を語り続けてきた民衆の厳しい倫理観を感じます。

   

しかし、ばあじるをじいさまに飲ませるくだりは、子どもに与える絵本として、どうなのでしょうか。汁を飲むということは、日常的で具体的なイメージがうかびます。「ばあじる」は残酷性をますように感じました。

     

では、「ばあさま殺し」は?

「ずるがしこいたぬきは、じいさまの留守に ばあさまをだまして 殺してしまう」ということは、物語の展開上、必要なことだと思います。それでも、ここの語りは、言葉の抽象性をいかして、さらっと読むとよいと思います。

          ・・・

※『かちかちやま』小澤俊夫再話、赤羽末吉絵、福音館書店 1988年  (2025/11/23)

SHARE