ふるはしかずおの絵本ブログ3

『これが ぼくらに ぴったり!』

「ゆたかさ」はどこにあるのか、という教訓的なおはなし。

    

      

むかし、あるところに

ロンソンさんという ひとが いました

      

あるひ、

靴ひもが きれて

あたらしい 靴ひもを 買いました

      

すてきな 靴ひもを つけているに

ロビンソンさんの靴は、おんぽろ靴

まるで つりあわない

と、あたらしい 靴を 買いました

   

    

すてきな 靴ひもと ぴかぴかの 靴を はいているに

古びた 上着じゃ つりあわないと

あたらしい 上着も 買いました

「これでいい」

と、また 歩きだしました

   

   

でも

擦り切れた ズボンや

穴のあいた 帽子が 気になり

あたらしい ズボンと 帽子を 買いました

   

     

おくさんは 言いました

あたしゃ ぼろぞうきんの ようだわ

    

ふたりは おくさんのための 服を 買いに いきました

おくさんも 

ロンソンさんと おなじくらい 

りっぱな すがたに なりました

   

ふたりは 

知り合いから お金を かりて

豪華な お屋敷を 買いました

あたらしい 家具も 買いました

    

  

やがて

お金を かした ひとたちが 

はやく かえせ、と押しかけて きました

おかねを かした ひとたちは

ベッド、じゅうたん、いす、お屋敷まで 

ぜーんぶ もっていって しまいました

     

    

ふたりは もとの 古い家に かえりました

     

 「なんだか おちつくねえ、ぼくらに ぴったりじゃないか

 

 「ええ。じぶんたちが ぴったりと おもえば

  それが ぴったりなんですね」

     

            ・・・

あたらしいものを手に入れると、他のものも手に入れたくなるロンソン夫妻。誰にでも、ありそうな気持です。でも、ふたりが見つけた、ぴったりな暮らしは、もとの貧しい生活でした。「なんだか おちつくねえ、ぼくらに ぴったりじゃないか」「じぶんたちが ぴったりと おもえば それが ぴったりのなんですね」という会話がありますが、悲観的には聞こえないから不思議です。ある種の安心感を得た人の言葉のようです。

     

しあわせは、ものの豊かさだけでは決まりません。立派な外見ではなく、自分たちが安心して、生活できるかどうかが大切といっています。笑い話のうらに、人生の真実が隠れています。子どもには、すこし難しい真実かもしれません。

            ・・・

※『これが ぼくらに ぴったり!』 アン・ローズ作、アーノルド・ローベル絵、こみやゆう訳、好学社 2020年  (2026/7/25)

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