
サーカス団のくまのオレゴンと ピエロのデュークのオレゴンへの旅です
ある晩
オレゴンが ぼくに はなしかけてきました
「ねぇ、デューク、ぼくを 大きな森まで 連れてっておくれ」
ぼくたちは
闇夜の晩、
最後の演技を すませると、出発しました
ビッツバークを 離れ
「スー族」というモーテルに泊り、
シカゴ行きの切符を2枚買って
ハンバーガーを300個買うと、
ぼくのお金は なくなりました
ぼくらは
ヒッチハイクをして スパイクという人の車に のせてもらいました
「なんであんた、赤いハナをつけて
おしろいなんか ぬってるんだね?」
「顔にくっついてとれないんだ。
小人やってるのも楽じゃないんだよ・・・」
「じゃぁね、世界一でかい国で黒人やっているのは、楽だと思うかい?」
ぼくたちふたりは、よく似ています・・・
スパイクとは 明け方にわかれ
ぼくたちは
雹の降るなかを 歩き
トウモロコシ畑で たらふくたべ
星空の下で 夢を みました
ロッキー山脈の ふもとまで きました
また、ヒッチハイクです
ぼくたちは 走っている貨車に 飛び乗り
ねむりました
ふと目を あけると
目の前に 森が 見えました
オレゴンが 夢見ていた、そのとおりの森が!

オレゴンはオレゴンに!
ぼくは、約束をはたしたぞ
今度はぼくが旅に出よう
なんにもかんがえずに、心を軽くして
・・・
赤い鼻も白い化粧も取れなかったピエロのデューク。かれがオレゴンに着いたことは、終わりではなく、あたらしい自分の旅のはじまりでした。最後の場面は、雪の森のなかを歩いていく、デュークの後ろ向きのすがたが描かれています。
『モダン・タイムス』のラストシーンのようです。チャップリンは、ヒロインと手をつないで、道を歩いていきました。未来への希望と再生を表現した名シーンです。
雪の道をひとりで歩きはじめる、ピエロのデューク(上の絵)にも、希望が見えますが、きびしい未来も予想されます。赤いハナが、道端に捨てられています。彼の決意のほどがわかります。
・・・
※『オレゴンの旅』 ラスカル文、ルイ・ジョス絵、山田兼士訳、らんか社 2018年 (2025/8/10)









