![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2022/10/-おつきさまを-おいかけて 画像-e1666673114792.jpg)
こねこのかん違い。でも、読者は知っています。
夜。
満月を 見あげて、こねこは 思いました。
ミルクの入ったお皿だ
のみたいな
こねこは、えいやっと
階段の 上から
飛び上がって みました。
でも、すってん ころりん。
届きません。
今度は 追いかけて みました。
道を 走って、
庭を 横切り、
野原を 駆けぬけ、
池のほとりまで。
それなのに、ぜんぜん 近づけません。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2022/10/20221025_140900-2.jpg)
こねこは、木のてっぺんまで 行きますが、
届きません。
木のうえから、
こねこは、池の中に
もうひとつ ミルクの入ったお皿を 見つけました。
池に映った月です。
読者は知っていますが、こねこは知りません。
こねこは、
池の中へ ざぶんと 飛びこみました。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2022/10/20221025_135246-2-1024x492.jpg)
びっしょり
へとへと
おなかは ぐうぐう。
おうちへ帰る こねこ。
階段のうえに なにがあったと思いますか?
大きなお皿にはいった ミルク。
ああ しあわせ。
・・・
満月の夜の、白と黒だけのモノクロの世界です。
こねこには、満月がミルクの入ったお皿に見えたのです。子ねこの間違いですが、そのことを、読む前に、あるいは途中でも「お月様が、ミルクの入ったお皿にみえたのね」と子どもに教えておいたほうが良いかもしれません。読者は、そうすることで、こねこに一層共感できるのではないかと思います。
無邪気なこねこの挑戦を認めてあげたいと気持ちになります。子どもは、失敗しながら成長していくものです。月のように、どうやっても手の届かないものがあることを、こねこもいつか知るでしょう。でも、それは もう少し大きくなってから、知ることです。
・・・
※『まんまる おつきさまを おいかけて』 ケビン・ヘンクス作・絵、小池昌代訳、福音館書店 2005年 (2024/6/29)