ふるはしかずおの絵本ブログ3

『くんちゃんはおおいそがし』- 遊びがはじまり発展する

くんちゃんの遊びがはじまり、遊びが発展していきました。

    

       ・・・

    

 「きょうは なにを しようかなぁ・・・

  なんにも すること ないや

    

くんちゃんはおかあさんに 何度も たずねます。

 

 「なにをして あそんだらいい?

    

おかあさんに 言われるまま

あさごはんを 用意し

ごはんを たべ

絵をかく くんちゃん。

     

  

 「こんどは なにをして あそんだらいい?

 「そとへ いって、じぶんで なにか することを みつけなさい」

   

 「そとに でたって なんにも すること ないや

   

 

くんちゃんは

歩きまわり、石をけり、松かさをけり、木切れを けりました。

木切れを ひろいあげ、

 

 「これ ふねみたい。

  そうだ かわへ いって うかべてみよう」

    

木切れは 川に 浮かんで はしりました。

きれいな 石を 見つけました。

石と 土で 家をつくります。

   

クルミを くわえた リスを 見つけると、

「ぼくも クルミを あつめよう」

あつめたクルミを 木のうろに 隠しました。

  

   

こんどは、

落ち葉を 掃きあつめ、おおきな 山を つくり、

ぼくは うさぎだ」といって、枯れ葉のなかに もぐりこみました。

   

    

干してある毛布は

トンネルに テントに なりました。

   

こんどは

くんちゃんは 虫めがねを もってきて

アリのあとを つけています。

  

   

こはんを いそいで 食べ

くんちゃんは おとうさんに いいました。

   

  「きょう ぼく おおいそがしなの

   

       ・・・

身近にあるものを材料にして、自分なりの工夫をして、遊びに没頭しているくんちゃん。くんちゃんの遊びは、どんどん変化していきました。

    

なにをして あそんだらいい?」から、いしころ・松かさを蹴り、木切れをみつけ、船に見立て川に浮かべ、石で土の家をつくり、落ち葉を集めてもぐりこみ、干してある毛布をトンネルやテントに見立てて遊びます。やりたいことが変化して、遊びがどんどん展開し、発展していきました。くんちゃんの言う通り、「きょう ぼく おおいそがしなの」です。

     

子どもが遊びだす様子をよく知っている作者です。

     

       ・・・

※『くんちゃんはおおいそがし』 ドロシー・マリノ作、間崎ルリ子訳、ペンギン社 1983年  (2024/5/21)

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