ふるはしかずおの絵本ブログ3

『あるひ くじらが やってきた』-海の環境問題を考える

ある日、くじらが、とつぜん海からあがってきたら・・・。

そのひと騒動です。

    

       ・・・

ある日、

くじらが、海からあがって、歩いて 町にやってきます。

 

    

 子どもは おおはしゃぎ。

 おとなは おおあわて。

 さかなやさんは おおよろこび。

  (くじらが たくさん魚を 買ってくれるからです)

    

     

でも、

魚の骨で、町は よごれ、

道路は ひび割れ、

さかな料理は 売り切れ、

小麦畑は、くじらの餌を そだてる池に なりました。

    

魚の骨に むらがる カモメたち。

町は、どこも カモメの糞だらけです。

   

  

 「くじらは でていけー!」

    

 「うみが ゴミで いっぱいに なってしまったから・・・

  きれいな うみに もどったら、すぐにだって かえりたいのに」

  くじらは こたえます。

    

町の みんなは、

海のゴミを ひとつのこらず ひきあげました。

くじらたちは、海に 飛び込み、水平線の彼方へと きえていきました。

    

          ・・・

作者のニック・ブランドは、アボリジニの支援活動を行っているそうです。自然への愛のあるまなざしが、絵本に詰まっていると解説しています。くじらを題材にして、環境問題を考える絵本ですが、くじらまで逃げたす海の汚染は、わたしたちが招いた海の汚染です。このことは、絵本を読んで自然にわかることかも知れませんが、読者にはきちんと知らせることが必要です。

 

これはおはなしでしたが、ある日、ほんとうに「くじら」がやってこないとも限りません。

         ・・・

※『あるひ くじらが やってきた』 ニック・ブランド作、なかがわちひろ訳、小学館  2022年  (2024/6/29)

SHARE