ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ああ神さま、わたしノスリだったらよかった』

綿花の収穫ために はたらく わたし。それは、過酷な労働です。

「わたし」の一人称視点です。

     

      

あのね

朝早く 綿畑にいったの

綿を たくさん 摘んだら

ぺろぺろキャンディーをあげようか、とおとうさんが いったの

      

わたしと おにいちゃんと おとうさんは

綿を つんで つんで つんで いったの


 「すごーく あつかったわ、

  もう ものすごーく あつかった

    

   

繁みの下の いぬを 見て

わたし

「ああ 神さま、わたし いぬだったら よかった」って

いってた

  

 「わたしたちは みんなと いっしょに

  わたを つんで つんで つんで つんでいったの

   

    

空をとぶ ノスリを 見て

わたしは、

「ああ 神さま、わたし ノスリだったら よかった」って

いってた

  

  

くりかえしです

いわの そばで すずんでいる 

蛇を 見て

 「ああ 神さま、わたし ヘビだったら よかった」

  

     

ひらひらひらって 飛びまわる 

ちょうちょを 見て、

 「ああ 神さま、わたし ちょうちょだったら よかった」

   

   

ヒュォ ― ヒュイ! ヒュォ ― ヒュイ!

鳴きながら 飛んでいる 

ウズラを 見て

 「ああ 神さま、わたし ウズラだったら よかった」

    

     

土曜日に 綿摘みが おわったとき

おとうさんが、ぺろぺろキャンディーを くれたの

    

日もくれた 遅い時間に

わたしと おにいちゃんと おとうさんは

あるいて おうちへ かえったの

月が あかるく かがやいていたわ

   

             ・・・

アメリカのミシシッピ州の綿花畑で、おさない頃から働いてきたグラディス・ヘントンの体験談が元になっています。過酷な毎日の労働のなかで、少女は、いぬ、ノスリ、へび、ちょうちょ、ウズラだったらよかった、と言います。暑い日中の、厳しく過酷な労働が、浮かびあがります。

       

繰り返される「ああ 神さま、わたし ~だったら よかった」の文章が心に残ります。また、赤茶色と焦げ茶色の色使いが印象的です。夕暮れのグレイの背景に、白い月の美しい絵があります。

   

サリー・フィールド主演の映画「プレイス・イン・ザ・ハート」のなかで、指先が血まみれになるほど、綿花を収穫する、きびしい労働がえがかれていました。
        

           ・・・

※『ああ神さま、わたしノスリだったらよかった』 ポーリー・グリーンバーグ作、アリキ絵、日向祐子訳、BL出版 2013年  (2025/9/15)

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