日本の川には急流が多い特徴があります。『 だいくと おにろく 』は、その急流の川が題材になっています。
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流れの はやい 川に、
村人は なんども 橋を かけます。
しかし、
なんども 流されて しまいました。
そこで、
名高い だいくに 橋をかけて もらうことにしました。
引きうけて みたものの
だいくは、心配になってきました。
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だいくが、
川を 見つめていると…、
ぶく ぶく ぶく
おにが ぶっくり あらわれます。
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おまえの めだま よこしたら・・・
はし かけてやっても ええぞ
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おには、
だいくの めだまを よこせと いうのです。
目玉は、ものごとの本質をとらえる 人間の力の象徴だとも言えます。
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次の日、
川へ 行って みると
橋が 半分 できています。
おには、いいます。
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おれの なまえを あてれば
ゆるして やっても ええぞ
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だいくは、 なやみ、
山のなかを さまよい、
上流に むかって すすみます。
すると、
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はやく おにろくぁ めだまぁ
もってこ ばぁ ええ なあ-
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という声が 聞こえて きました。
だいくは 自然の声に
耳を かたむけ まなんだのでした。
おにの名前は、「 おにろく 」と。
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そして、だいくは おにと対決します。
ふたりの対決の場面は、ドラマチックな構成です。
ふたりの掛け合いのおもしろさがあります。
ユーモアと
たたみかけていく テンポ。
さいごに
おにろくっ!
おには、
「 きいた なっ ! 」 と
くやしそうに いうなり、
ぽかっと きえて なくなってしまった。
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鬼は、自然( 川 )の象徴です。
名前をいいあて、鬼が消える。
それは、自然の本質を理解し、川の暴威を克服したすがたです。
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※ 『 だいくと おにろく 』 松居 直再話、 赤羽末吉絵、 福音館書店 1962年