1928年出版の絵本。
いまだに人気で評価の高い絵本です。
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さびしい生活をしている おじいさんとおばあさん。
「うちに、ねこが 一ぴき いたらねえ」とおばあさんは願います。
「わたしが、ねこを 一ぴき とってきて やろうよ」という おじいさん。
(ふたりとも、一ぴきというところが怪しい)
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おじいさんは、丘をこえ、谷間をとおり、
ながい、ながい間歩いて、ねこがいっぱいの丘を見つけました。
どこにも、かしこにも、ねこ、ねこ、ねこ・・・
100まんびきのねこ。
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おじいさんは、きれいな かわいいねこを連れて帰ろうとします。
しろいねこです。
でも、
白黒のねこ、
灰色のねこ、
向こうのすみにいるねこ、
真っ黒いねこもかわいい。
「これは、どうしても つれて いかなくては ならないぞ!」
とらねこも連れて帰ります。
とうとう、
おじいさんは、ねこをみんな連れて帰ることにしました。
帰り道は、
おじいさんとねこの大行列です。
のどが渇いた ねこたち。
池の水を飲むと、
池の水は すっかりなくなってしまいました。
お腹がへった ねこたち。
草を食べると、
草が一本も なくなってしまいました。
おばあさんは、びっくり。
「こんなに たくさんの ねこに、ごはんは やれませんよ」
(どのように解決するのでしょうか?)
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「おまえたちの なかで、だれが いちばん きれいな ねこだね?」
「わたしです!」
「ぼくです!」
「いいえ、わたしです!」
「ぼくが いちばん きれいです!」
「わたしです!」
「いいえ、ぼくです! ぼくです! ぼくです!」
ねこたちは喧嘩をはじめました。
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でも、すこしたつと、大騒ぎが聞こえなくなりました。
ねこが一ぴきもいなくなりました。
「ごらんよ」
おじいさんは、草の間に、やせこけたこねこを 一ぴき見つけました。
おじいさんとおばあさんは、
そのこねこを大切に育てました。
こねこは まもなく、かわいらしい まるまるとした ねこに なりました。
ひゃっぴきの ねこ、
せんびきの ねこ、
ひゃくまんびき、一おく、一ちょうひきの ねこ。
このフレーズが6回くりかえされます。印象にのこるフレーズです。
また、あらすじではふれませんでしたが、ねこたちは喧嘩をして、どうなったのでしょうか。「きっと、みんなで たべっこして しまったんですよ」(おばあさん)。「おしいことを しましたねえ」(おじいさん)。現実を想像するととてもこわい話ですが、ふたりはそれほど気にかけている様子はありません。ブラックユーモア的です。子どもは、ねこが一ぴきもいなくなったことをすんなりと受け入れていくことでしょう。
ペロー風の教訓 ; 欲望も度が過ぎると大惨事。ねこを飼うなら一ぴきが一番。
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※『 100まんびきのねこ 』 ワンダ・ガアグ作・絵、石井桃子訳、福音館書店 1961年