「人類がグーテンベルグの恩恵を受けたように、わたしたち目の見えないものは、ルイ・ブライユの恩恵を受けた」 ヘレン・ケラー
点字。
点字を初めて発明したルイ・ブライユ(1809年-1852年)。
ルイが語り手になって、ぼく自身のことを語ります。
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フランスのクヴレ村という村で生まれた、ぼく。
ぼくは、パパの仕事をまねようとして、「せんまいどおし」で目を傷つけてしまった。
5歳の頃には、
目が、まったく見えなくなってしまった。
でも、みんなは、ぼくを助けてくれた。
パパは、木の杖を
おねえちゃんたちは、藁で文字の形をつくってくれた。
おにいちゃんは、口笛を教えてくれ、
ママといっしょに、ドミノゲームをした。
神父さんは、手で木を見分け、においで花を見分け、
鳴き声で鳥の種類をおしえてくれた。
侯爵夫人は、国立盲学校に入るを援助してくれた。
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10歳のとき、
ぼくは、王立盲学校に入学した。
目の見えない人のための本があると言う。
ぼくは、文字を読んだり、書いたりすることを夢みて学んだ。
「もりあがった文字をなぞりなさい」。
ようやく、出会った本。
でも、
文字は巨大だった。
最初の文を読むと、もう、ページの真ん中までいった。
そして……すぐに本は終わりになった。
ぼくは、ため息をついた。
フランス陸軍大尉が、手で触って読む暗号を発明した。
でも、その暗号はとても難しい。
暗号は、文字ではなく、音をあらわしている。
だから、ぼくたちは言葉を綴れない !
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ルイは、暗号を改良することにした。
3年がたった。
15 歳のとき、
ぼくは、新しい暗号(点字)をつくった。
ぼくの新しい暗号は、6この点だけを使い、
ドミノのように2列になっている。
点の組み合わせが、アルファベットの文字になっている。
だから、読むことも書くこともできる。
ルイ、チュ・ラ・フェ! 「ルイ、やったね!」
シ・ファシル! 「すごくかんだんだ!」
エ・シ・ヴィット! 「それに、すごくはやい!」
5歳で失明し 15歳の時に点字を発明した ルイ・ブライユ。ルイは、その後、点字を使った音楽、算数、地図の本を出版し、王立盲学校の教師(1833年)になりました。そして、死後100年の記念日(1952年)になきがらは、パリのパンテオンにうつされました。また、絵本には、ルイの家族やまわりの人たちが、彼の自立を助け 教育をうけるように励ましたことも書れています。当時、それは普通のことではありませんでした。(「あとがき」から)
点字のアルファベットと 日本語の点字の五十音も掲載されています。
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『 6この点 点字を発明した ルイ・ブライユのおはなし 』 ジェン・ブライアント文、ボリス・クリコフ絵、日当陽子訳、岩崎書店 2017年 (2019/5/21)