ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 蝶の目と 草はらの秘密 』- 詩と絵画、科学が結びついた絵本
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詩と絵画、そして科学が結びついた絵本です。シドマンの詩はなぞなぞ仕立てです。次のページをめくると答えがあります。それが解説になっています。「かれ」のところを引用します。     

      

  きんいろの くさはらを
  はやあしで
  かけぬける
  よあけの 光のなか
   けがわを まとい
   なぞめくもの
  かれは
   さがしにむかっている
   じぶんのほんとうの
  ちからを

   - かれとは だれのことですか ?
     (キツネ)
      ・・・

このあとは、詩のタイトルとその詩が表現しているものの答えを書きます。
 そろそろ あかるくなるころ(あさつゆ)
 あったかい あさ     (バッタ)

 し-っ しずかに!
 みんな ねむっている   (ワタオウサギ)
 かれ           (キツネ)
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 あわの うた       (アワフキムシ)
 じゅえきの うた     (維管束)

 うっとりすてきな     (トウワタ)
 ひみつもよう       (チョウ)

 おひさまへ おてがみ
 あめさんへ おてがみ   (みんな つながっている)

 あたらしい じぶん    (ヘビ)
 ごちそうに みえるかな? (ヒキガエル)

 いつも いっしょに    (ヒワ)
 おれさまの えものへ
 おわびじょう       (タカ)

 はいいろの なかまたち  (シカ)
 まっている        (木々)

バッタが「ぼく」になり、キツネが「かれ」と呼ばれ、アワフキムシやトウワタが「私」のことを語り、草むらが手紙を書いています。おれ、わたしたち、おれさま、われわれ、われらと視点人物を変えて、語っている人物を当てる なぞなぞです。なぞなぞの答えは、みんな北アメリカで見られる身近なものたちです。自然の中の生きものと植物。虫、けもの、鳥。そして自然そのもの、太陽、雲、雨・・・「 みんな つながっている」。自然賛歌の絵本です。
また、絵を見る絵本でもあります。文字の体裁を整える技法(ヘビ、ヒキガエルの上の絵)も駆使されています。心のこもった丁寧な本づくりに感心しました。
      ・・・
※『 蝶の目と 草はらの 秘密 』 ジョイス・シドマン文、ベス・クロムス絵、 百々佑利子、藤田千枝訳、 冨山房 2011年  (2019/10/6)

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