こぎつねの コン の
やさしさ と
ユーモアが いっぱいです。
教科書に のった おはなしです。
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学校の 子どもたちが、
ふうせんを とばしました。
「 お花を うえましょう 」 と花の種を つけて。
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そのひとつが
どうまちがえたのか、山に おりました。
あかい ふうせん 、
ふわふわ、
ふわふわ。
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やまに いたのは コン。
ゆめを みていた コン。
目を さますと、
目の まえに、ぽっかり
まっかな 花 が さいていたのです。
( コンには ふうせんが 花に 見えたのです。 )
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白い、ほそい、糸のような くき
かみづつみのような ねっこが
ついていました。
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【 奇妙な比喩です。糸のようなではなく、 実際、 糸です。
かみづつみのようではなく、 紙包み。
でも、語り手は コンが 見たように 書いています。 】
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きれいな 花の ねっこちゃん。
ちゃんと 土の中に 入って おいでよ。
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ふうせんに
よびかけ、
土にうめ、水をかける コン。
水を チャプンと かけると
それだけで、ふわふわ ゆれました。
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しかし、ある日
ふうせんの はなは
く た ん と たおれています。コンは、わあわあ なきました。
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それから、雨が まいにち降り、
見たこともない 芽が、ぐんぐん ぐんぐん のびていきます。
ある日、金いろの はなが さきました。
それは ひまわりでした。
そして、秋には、こうばしくって あまい たねをつけたのです。
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コン、子どもたち、語り手、作者、そして読者。みんなの願いが実現した 花も 実も ある おはなしです。「花いっぱいになあれ」のタイトルは、とても象徴的です。わたしたちにとって、いっぱいにしたい「 花 」とは いったいなんでしょうか。
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※『 花 いっぱいに なあれ 』 松谷 みよ子 作、 司 修 絵 大日本図書 1982年
松谷みよ子さんは、2月28日にお亡くなりになりました。 以前、松谷みよ子さんの『 いない いない ばあ 』( 瀬川康雄 絵 童心社 )をこのブログに入れました。