1927年の ソビエト絵本 です。
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子どもたちよ
灯台のようであれ !
くらやみで 航海できない 人たちのために
明りで 行く手を 照らすのだ !
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20世紀のロシアを代表する
詩人・ マヤコフスキーが、子どもたちに託した希望です。
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夕ぐれも、
夜ふけも、
航海は
とても むずかしい。
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嵐のなかを航海する 船。
双眼鏡をのぞいても、海岸さえ見えないのです。
波がうねり、渦をまけば、
船は、てんぷくです。
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そのとき
灯台の赤いひかりが届きます。
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「 ここは しずかだ
船よ みんな
こっちへ 進め ! 」
と 告げています。
灯台員は、
夜もねむらず、
明りをともしました。
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そのおかげで、
船は、無事に港へとかえっていくのです。
そして、
冒頭のことばです。
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荒れくるう海とは、人生そのもの。
船は、わたしたちのたとえです。
いきることの意味、
何がたいせつなことなのかを
マヤコフスキーは、力づよくつたえます。
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マヤコフスキーは、 創作を通して、ロシア革命後のあたらしい社会の建設をよびかけましたが、1930年4月、みずから命を絶ちました。画家のポクロフスキーについては、 情報が乏しく 錯綜しています。生没年も不明です。このことは「 アヴァンギャルド芸術への弾圧の時代の象徴 」(松谷さやか)でした。
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※ 『海と 灯台の本』 マヤコフスキー文、ポクロフスキー絵、松谷さやか訳、新教出版社 2010年