読みかたりの楽しい、インドの民話です。
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クロドリは、
妻を 王様に、さらわれてしまいました。
クロドリは、妻を取りもどすために、王様に戦いを挑みます。
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棘の 刀
クルミの かぶと
カエルの 皮のたて
太鼓をもった 奇妙な いでたち。
ランパンパン ランパンパン ランパンパンパンパン !
勇ましい リズム。リズミカルなくりかえしです。
ネコ、
アリ、
木の枝、
川が 仲間に加わります。
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ネコは、王様に 子どもをころされ、
アリは、アリヅカに お湯を流され、
木の枝は、ひきちぎられ、
川は、水を 汚されたのです。
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クロドリはいいます。
ぼくの耳のなかに お入りよ。
みんな、クロドリの耳の中へ。
ランパンパン ランパンパン ランパンパンパンパン !
クロドリたちは、王様のもとへ。
でも、王様は、家来に命じて
「にわとり小屋へほうりめ!」
そこで、
ネコの 登場。
クロドリの耳から出た ネコは、にわとりをひっかき、大騒動。
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「馬小屋に ほうりこんでしまえ!」
こんどは、
木の枝の 登場。
木の枝は、馬をひっぱたき、馬たちは みんな逃走。
「ゾウのおりに ほうりこめ」
つぎは、
アリの 登場。
アリたちは、ゾウの頭をさしたり、かみついたり。
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王様はいいます。
「わしのベッドの柱に しばりつけ、なにがおこるか 見とどけてやるぞ」
さいごは、
川の 出番です。
( 川は なにをしたのでしょうか )
川は、大洪水をひきおこし、すべてを流してしまいました。
こうして、クロドリは、愛する妻を連れ帰ることができたのです。
「協力」がテーマのおはなし?
協力とは、力を合わせて事にあたることですが、何のため(目的)、そして誰と誰の協力かを、かんがえることが大切です。泥棒だって協力するのですから。このおはなしは、クロドリの奥さんを救出するため。そして、クロドリ、ネコ、アリ、木の枝、川が、自分たちの特徴を生かし力をあわせて、悪業・横暴な王様とたたかったおはなしでした。
ランパンパン ランパンパン ランパンパンパンパン !
絵本のなかで鳴り響いています。彼らの勇敢な行為を彩る響きです。
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※『 ランパンパン インドみんわ 』 インド民話、 マギー・ダフ再話、 ホセ・アルエゴ絵、 山口文生訳、 評論社 1989年
【 追 記 】
紙芝居に「あひるのおうさま」(堀尾青史さく、田島征三絵、童心社)という、このお話と似た作品があります。主人公はクロドリではなくて、あひる。行動の動機は、奥さんをさらわれたのではなく、王様に貸したお金を返してもらいたいためです。途中、キツネ、川、ハチに出会い、おなかの中に入れてつれていきます。 アヒルが窮地に立たされると、それぞれの人物が大活躍です。最後は? あひるは、みんなに押され新しい王様になります。フランスの民話です。 (2017/5/8)