アメリカの神学者、クレメント・C・ムーア( 1779年-1863年)の詩に、ロジャー・デュボアザンが絵をつけて出版(1954年)されました。
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語り手は パパ。
息子とむすめを「おまえたち」と呼んでいます。
クリスマスの前の満月の夜、
窓を開くと、
パパの目に飛び込んできたのは、
ちいさな橇、8頭のトナカイ、橇に乗るおじいさん。
(ご想像のとおり)
サンタクロースです。
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サンタクロースは、トナカイに声をかけます。
ダッシャー
ダンサー
プランサー
ヴックセン
コメット
キューピッド
ドナー
プリッツェン
「ちからを あわせて かけあがれ!」
サンタクロースは 煙突をとおって、ドシン。
目は キラキラ、
笑えば、えくぼがうかぶ、
微笑む ちいさな口、
真っしろな あごひげ、
笑うと、おなかが ゆっさゆっさ。
陽気でゆかいな おじいさん。
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サンタクロースは、パパに ウィンク。
それから、靴下にプレゼントを つめこみます。
見たことは内緒ですよ、とおじぎをして
ひらりと 橇にのり、
アザミの綿毛のように 飛んでいきます。
サンタクロースの声が 聞こえてきます。
「クリスマス おめでとう! ぐっすり おやすみ」
クレメント・C・ムーアの詩は、いろいろな作家によって絵本化されています。温かな感じのロジャー・デュボアザンの絵本を紹介しました。
訳者のこみやゆうさんは、「ムーアが病気の子どもたちに語って聞かせた時の気持ち。父親という立場から、ベッドで眠る子どもたちへの語りかけ。クリスマスが今ほど商業化されていなかったであろう時代(19世紀)の神聖で厳かなイブの夜の空気」(本人のブログから)を意識して翻訳したと書かれています。ブログは敬体で紹介しましたが、実際は常体の文章体 でキビキビした感じの文章です。また、やわらかな木綿の肌触りを感じさせる翻訳です。
.。.:*・゚ Merry-X’mas: *・゚。:.*。
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※『 クリスマスの まえのよる 』 クレメント・C・ムーア作、ロジャー・デュボアザン絵、 こみや ゆう訳、主婦の友社 2011年 (2019/12/23)