森の中に、
動物たちが、つぎつぎと現れるファンタジーです。
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ぼくは、
紙の帽子を かぶり、
おもちゃのラッパを 持って、
森へ 散歩にいきました。
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すると、
昼寝からおきた らいおんが、いいます。
ちゃんと かみを とかしたら、ぼくも ついていって いいかい?
2ひきの ぞうの こども は、
セーターを 着て、靴を はいて、
くまたち は、
ピーナッツと ジャムと おさじをもって、ついてきました。
かんがるー、
こうのとり、
さる、
うさぎ も やってきます。
ぼくがラッパをふくと、どうぶつたちは、ほえたり、うなったりして、たいこを たたいたりして、森の中を 行進です。
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みんなで おやつを食べて、
ハンカチ落としや ロンドン橋落ちたや かくれんぼうをします。
ぼくが 鬼になり、どうぶつたちが 隠れると・・・
どうぶつたちは、
いっぺんに 消えてしまい、
おとうさんが、やってきます。
ぼくは、おとうさんの肩車に のって みんなに 別れをつげます。
さようならぁ。 みんな まっててね。
また こんど、さんぽに きたとき、さがすからね !
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こんなことをしてみたい、子どもの思いが、ファンタジーの中で実現しています。絵本のなかで、ぼくと動物たちは、分けへだてのない世界で楽しく遊んでいます。作者は、最初から、現実と空想のあいだに、はっきりとした境界をつくらず、現実と空想をひとつの世界、一元的な世界として描きだしています。 それが不自然ではなく、すっとはいっていけるのは、子どもたちにとって、現実と空想は べつべつのものではなく ひとつのものだからでしょう。
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※『 もりのなか 』 マリー・ホール・エッツ 文・絵 まさきるりこ訳、 福音館書店 1963年 ( 初版は1944年 アメリカ ) (2016/5/8)