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エチオピアの昔話です。
・・・
むかし、
12にんの男たちが、
粉をひいてもらうために、マイ・エデカという町へいきました。
その帰り道のこと。
ひとりの男が、仲間が12人いるかどうか気になりました。
人数を数えましたが、自分を数え忘れたため、11人しかいません。
(当たり前。)
・・・
「たいへんだ! だれかが いないぞ!」(笑い)
「いなくなったのは だれだ?」
「おまえさんが かぞえて みてくれ。」
2番目の男が かぞえてみました。
その男も、自分を数え忘れたため、やっぱり 11人しかいません。
「おまえの いうとおりだ。」
(もう、筋はお分かりですね。)
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3番目の男。「道に迷って ヒョウに やられたに ちがいない。」
4番目の男。 「もっと気をつけてやれば よかったなあ!」
5番目の男。 「そうとも そうとも・・・」
6番目の男。「ものすごく 大きなヒョウだったなあ」
7番目の男。「気がふれた めすの ヒョウだったぞ!」
8番目の男。「武器も持たないで・・・勇敢に戦ったじゃないか!」
9番目の男。「怖いなんてことは ひとことも いわなかったぞ」
10番目の男。「残された おかみさんは なんと いうかなあ?」
11番目の男。「かわいそうな 家族じゃないか!」
12番目の男 。「勇敢だったばかりか、親切で優しい やつだったなあ」
12人の男は、泣きながら村へかえってきました。
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村はおおさわぎ。
そのとき、ちいさなおんなの子が、粉袋をかぞえてみると・・・
「おかあさん。袋は ここに 12あるよ。」
「静かにおし。えらい人が 死んだんだよ。」
でも、袋は12個。
(まあ、そうですね。)
・・・
村長が数えてみました。
「ほう、ちゃんと 12にん おるわ。いなくなったやつが もどってきたぞ。」(笑い)
村人はおおよろこび。
みんなで、踊り、
歌をうたい、
ごちそうを食べて、
お祭りをしました。
それから 強くてたくましい英雄のはなしが つたえられました。
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ユーモア溢れる楽しいおはなしです。 はなしに尾ひれがつくとは、このことで
自分を数え忘れて仲間が足りないと思い込む12人の男たちの滑稽さ、いなくなった男のことを想像し、根も葉もないことを言いあうばか馬鹿しさ。これらを楽しむには、ある程度の年齢が必要かもしれません。男たちと村人の言動の非合理さを理解する常識が必要です。
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※『 むらの 英雄 』 わたなべ しげお文 にしむら しげお絵 瑞雲舎 2013年 (2019/4/19)