表紙を 見てみましょう。
くまが、すわっています。
りす、 のねずみ、 やまねずみは、踊っています。
なにか 楽しいことがはじまりそうです。
表紙は黄色。
黄色の意味は、最後に なって わかります。色を つかった伏線です。
・・・
題名は『 はなを くんくん』です。
「くんくん しているのは だれかな 」と問いかけてみます。子どもの興味をひきだす 仕掛です。
表紙はとても大切ところです。絵本はここから始まります。わたしは「はじまり の ゼロ 行」と言っています。
・・・
ゆきが ふってるよ。
のねずみ
くま
かたつむり
りす
やまねずみ が
雪のしたで、 木のなかで 眠っています。
あたり一面は 雪。
絵は、 白と墨色で描かれています。
みんな冬眠中。
雪のしたや 木のなかは、現実には 見えません。しかし、雪のなかの人物が見えるように 描かれています。
・・・
や、 みんな め を さます。
みんな
はなを くんくん
のねずみ が
くまが
かたつむり が
りすも
やまねずみ も みんな かけてく。
リズム感のある文章。
やわらかなタッチの 絵。
訳者は、詩人の木島始さん。
読んでみますと、スピードをだんだん増していく 列車のような 感じです。
動物たちは、どこへいくので しょう か。
くんくん している先になにが あるのでしょうか。
・・・
みんな、 ぴたり。
みんな とまった。
みんな うっふっふっ、
わらう、 わらう。 おどりだす…
うわあい !
・・・
動物たちは、なにかをみつけました。
でも、くまが じゃまして、 見えません。
子どもが、このくまに むかって、「 どいて 」 と手で払い のけようとしたという エピソードがあります。ありそうなことですね。
動物たちが見つけた黄色い花。
ちいさな春を見つけたよろこびです。
春を待つこころ。
うつくしいものに感動するこころを描いています。
・・・
※ 『 はなを くんくん 』 ルース・クラウス文、 マーク・サイモント絵、 木島始訳、 福音館書店 1967年 読んであげるなら 3歳から。