戦争とは何かを つたえる絵本です。
戦争を擬人化して
人びとの平和な生活や 生きものたちの営みと対比して、
戦争の恐ろしさを たたみ掛けるように語ります。
(ゴチックは、作者のことばです)
戦争はなんでもできる
どんな国の言葉も話すことができる
( 身近にある 戦争 )
戦争は
戦争の目で
ものを見るのよ
( ものの 価値を )
子育て中の母親たちのところにも
戦争は
やってくるの
( 子どもたちに 近づいてくる )
戦争は
たくさん経験を積んでも
すこしも賢くならない
( わたしたちが 学ばなければならない )
戦争は
じぶん勝手な
とてつもない
大食らい
( 破壊して なにも残さない )
いや
残すものが ある。
目にみえない 汚染物、
戦争のしみこんだ 水。
みんなを 病気にしてしまう 水。
・・・
それでも
戦争が正しいというなら
ある日
みんな
飲まなければいけなくなるわ
戦争のしみこんだ
水を
この場所で
戦争の本質を、するどくえぐる文章です。
戦争のしみこんだ 水。
とても 恐ろしいメージです。
と言うより、
現実。
子どもたちに 背負わせてはならない 負の遺産です。
・・・
アリス・ウォーカーは、『 カラー パープル 』で、黒人女性としてはじめて、ピューリッツァー賞(1983年)を受賞した人でした。
表紙カバーに、彼女の言葉があります。
戦争が、姿をたくみに隠し、人びとの平和な日々にしのびよる
- そのおそろしさを伝えることが、子どもたちを守るひとつの手だ
てになると信じています。
※ 『 なぜ 戦争は よくないか 』 アリス・ウォーカー作、 ステファーノ・ヴィタール絵、 長田 弘訳 偕成社 2008年
小学校高学年の子どもたちに 読んでほしい絵本です。もちろん大人にも。 (2016/2/23)