誰でも知ってる童謡、
誰もがうたった童謡、
「 ぞうさん 」。
にしまき かやこさんが、素敵な絵(2016年)を つけました。
ぞうさん ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよ
ぞうさん ぞうさん
だあれが すきなの
あのね
かあさんが すきなのよ
この詩をよく見ますと、ふたりの人物の 会話 からできています。
でも、誰と誰が、会話をしているのでしょうか。
「 そうよ/かあさんも ながいのよ 」と言っている人物は、ぞうの子どものようです。「 ぞうさん ぞうさん/おはなが ながいのね 」と言っている人物は いったい 誰なのでしょうか?
・・・
にんげんの 子ども ?
らいおんの 子ども ?
かばの 子ども ?
きりんの 子ども ?
しまうまの 子ども ?・・・
「 にんげんの 子どもじゃない 」と思われている人 が多いと思います。でも、決め手は ありません。相手が誰であれ、「 そうよ/かあさんも ながいのよ 」「 あのね/かあさんが すきなのよ 」という答えが 大切です。
詩人の阪田寛夫さんが、まどさんの解釈を紹介しています。まどさんは、こう言っていました。「 一番好きな かあさんも長いのよと 誇りをもって言えるのは、ゾウがゾウとして 生かされていることが すばらしいと思っているから 」と。
また、「 おはなが ながいのね 」の言葉を、ぞうさんに対する悪口だという解釈もあります。まどさん自身は、もっと積極的に、ぞうがそれを「わるくち」と受けとるのは当然というものです( 阪田寛夫 『 まどさん 』 新潮社 )。 「悪口」の解釈には、ビックリしましたが、仮にそう読んだとしても、「 そうよ/かあさんも ながいのよ 」という答えが、かえって光りを増してくるようです。
シンプルなことばの中の深い意味。やはり、まど・みちおさんの詩です。まどさんは、2014年に104歳でお亡くなりになりましたが、「 ぞうさん 」( 團伊玖磨作曲 )は、歌い継がれてゆくことでしょう。「 せんねん まんねん 」と。
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※『 ぞうさん 』 まど・みちお詩 にしまき かやこ絵 こぐま社 2016年 (2016/6/10)