ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 かもさん おとおり 』- こがもを見守るやさしい人物たち

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子育てをする かもの夫婦の おはなしです。
わたしの住む静岡市でも、先日、かるがもの親子のことが 話題になりました。しかし、この絵本の舞台は、1940年代初頭のアメリカ・ボストンです。
・・・
かもの
マラードさんと マラードおくさん。
巣をつくる 場所を さがしてボストン上空 へ。
チャールズ川のなかの 島が・・・

ひなを かえすのに
おあつらえむきの ばしょの ようですわ。

その島で、8羽のひなが 生まれました。
( 見返しに、卵からかえる絵が あります )

ジャック
カック
ラック
マック
ナック
ウァック
パック
クァック

・・・
マラードおくさんは、
泳ぎかた、
潜りかた、
一列にならんで 歩くこと、
呼ばれたら すぐ来ること、
車の危険を、こがもたちに教えました。
さぁ いきましょう。
こんどは、川から公園へ引越しです。
・・・
ぶぷー ぶぷー!
途中は、車がいっぱいです。
おまわりさんの マイケルさんが 交通整理。

パトカーまで 出動します。
マラードさんと 8羽のひなたちは、
列をつくって、道路を わたり、
本屋のところを まがり、
公園まで 大行進。
そして、
かもたちは、公園の池のなかの ちいさな島に 住むことにしました。
ハラハラ ドキドキの大行進です。
・・・
かもの目からから見た俯瞰的な絵、視点の変化、クローズアップとロングショットが、映画のような動きとリズムを 生みだしています。動きだしそうな絵です。こがもを見守る マラードさんとボストンの人たち。やさしい心がいっぱいの絵本です。また、かもたちの表情も 見所のひとつです。
読者は、当時のアメリカ・ボストンに タイムスリップします。かもの親子を通して、1940年代のボストンと現在が、わたしのなかで結びつきます。ふたつの時間の重なりが、絵とおはなしをさらに豊かににしてくれました。かもの親子の行進をどこかで見ているみなさんも、きっと同じでしょう。
この絵本は、1942年のコルデコット賞を受賞しました。ロバート・マックロスキー(1914-2003)の名作絵本です。
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※『 かもさん おとおり 』  ロバート・マックロスキー文と絵  渡辺茂男訳 福音館書店 1965年 (2016/6/5)

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