ベッドにはいる ぼく。 寝る前の 親子の会話です。
ぼくは、おかあさんに いろいろと尋ねます。
おかあさんは、ぼくの問いかけに どう答えるのでしょうか ?
どうして、ひるは おしまいになって しまうの ?
よるが はじめられるようによ。
かぜは やんだら、 どこへいくの ?
とおくへ ふいていって、どこかで
また、木を ゆらすのよ。
たんぽぽの ふわふわは ・・・ どこへ いくの ?
だれかさんの おにわへ ・・・。
みちは みえなくなったら、どこへ いくの ?
むこうで、べつの子が みていて、あ、あそこから
みちが はじまったなって おもうのよ。
山は、てっぺんまで いったら、どこへ いくの ?
ふたりの会話は 続きます。
おとこの子の質問に、ひとつひとつ 丁寧に答える おかあさん。
波は、
船は、
雨のみずは、
雲は、
トンネルにはいった 汽車は、
落ち葉になった 木の葉は、
秋は、
冬の終わりは?
最後に、おかあさんは 言います。
さ、いまは ねるじかん。
・・・
ものごとは、絶え間なく続いていきます。ものごとの おわりは、新たなことの はじまり。 ベッドで眠ることは、きょうの終わり、明日のはじまりです。「おしまいに なっちゃうものは、なんにも ないんだね」。
不思議なことがいっぱいの世界、なんでも知りたいおとこのこ。おとこのこの問いかけには、「寝たら、ぼくは どこへいくの?」という 不安があるのかもしれません。でも、世の中がこのように続いていくことを知ることは、子どもに安心感を あたえることになるでしょう。おかあさんの やさしい言葉を聞いて、おとこの子は ぐっすり眠れたことと思います。
・・・
※『 かぜは どこへ いくの 』 シャーロット・ゾロトウ作 ハワード=ノッツ絵 松岡享子訳 偕成社 1981年 (2016/10/ 9)