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ロシアの昔話です。
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笛が吹くことが大好きな少年、イワーヌシカ。
悲しい曲では、みんな 涙をこぼす。
踊りの曲では、みんな 踊りだす。
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すこし大きくなると、イワーヌシカは言いました。
「とうさん、かあさん、ぼくはどこかでやとってもらって、はたらくことにするよ」
そして、
羊飼いの仕事を見つけました。
でも、
欲深い主人は言います。
羊飼いの仕事がちゃんとつとまったら、給金は2倍。
でも、
「ひつじが一頭でもいなくなったら、給金なしで追いだす」と。
3ヶ月がすぎました。
ひつじは、元の数のまま。
2倍の給金を払わなくてはならない!
主人は、
その秘密を探ろうと、ひつじの毛皮を着て、ひつじ小屋に忍び込みます。
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日がのぼると、
イワーヌシカが、羊を追いはじます。
毛皮の主人も「メエ、メエ、メエ! メエ、メエ、メエ!」
イワーヌシカは、
主人が羊に変装していることに気がつきました。
そこで、
ひつじたちが、草を食べおわると、
「おまえたち・・・ひとおどりしようか」
イワーヌシカが笛を吹きはじめました。
ひつじたちは、飛びはねたり、ひずめをならして踊ります。
主人も踊りだします。
もう、どうにもとまりません。
「イワーヌシカ、笛をふくのはやめてくれ! もう、だめだ!」
・・・
家に帰ると、
おかみさんは、いいます。
「わたしは、おどらされたりしませんからね」
でも、イワーヌシカが笛を吹くと、
おかみさんは踊りだしました。
ねこも踊り、
隠れていた主人も踊りだします。
牛も、
うまも、
ひつじも、
にわとりも、
ぶたも踊りだします。
朝がくると、
イワーヌシカはお給金をもらって、
おとうさんとおかあさんのもとにかえっていきました。
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イワーヌシカが笛をふくと、みんなが踊りだす場面がたのしい絵本です。その様子を想像すると笑えます。自然と体も動きます。こうしたところは、子どもの喜ぶところでしょう。
『 笛ふきイワーヌシカ 』は、欲深い主人とおかみさんが懲らしめられるはなしでしたが、その懲らしめ方に面白さがありました。力による罰ではなく「踊り続ける」という罰をあたえるところに、民衆の知恵とユーモアを感じます。笑い話として読みました。
また、ワレーリー・ワシーリエフの絵は独特ですが、民族衣装や風景がいかにもロシア的です。
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※『 笛ふきイワーヌシカ 』ミハエル・ブラートフ再話、ワレーリー・ワシーリエフ絵、松谷さやか訳、偕成社、2001年 (2020/6/27)