子どもがしたいことをする、おうさまが登場します。
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平和な国のおうさま・・・
でも、忙しすぎて、
わらったり、遊んだりする暇もありません。
友達もいません。
国の問題が気になり、夜も眠れません。
(ストレスがいっぱいのおうさまです)
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ある晩、
おうさまは、
ベッドの柱によじのぼり、
いきおいよく飛び降りてみました。
ボヨーン、バヨーン、ボヨヨーン、バヨヨーン。
飛び跳ねるごとに、
心配事がひとつずつ消えていきました。
そして、スヤスヤ眠りました。
でも、おせっかいな大臣が、その様子をこっそり見てしまったのです。
つぎの日、
みんなはヒソヒソ。コソコソ。
おうさまの噂でもちきりでした。
大臣は、
ベッドで飛び跳ねることを禁止しました。
おうさまでも、ベッドで飛び跳ねることはダメ。
おうさまは もう眠ることができません。
とうとう、病気になってしまいました。
おうさまの命は今にも消えようとしています。
「もういちどだけ わしを ベッドのうえで はねさせてくれ」
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おうさまは、ベッドに
ボヨン バヨンと跳びはねました。
すると、どうでしょう。
おうさまは笑い出し、
ボヨンと跳びはねるたび、
うれしくなり、どんどん元気になりました。
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それからは、お医者さんも、大臣も、城のなかの全員が、国中のひとが、ひとり残らず
ボヨーン バヨーン。
だれもが笑い、うれしそうに叫びます。
「おうさま バンザイ! ボヨンボヨンだいおう、バンザーイ!」
ボヨーン、バヨーン、ボヨヨーン、バヨヨーン。
音読してみますと、とても楽しい雰囲気になります。 ユーモアが生まれます。 笑えます。このオノマトペはベッドで跳ねる音を言い表わした言葉ですが、おうさまの心も表現しています。主観と客観が表裏一体となった表現、コインの表と裏のような関係です。
また、コラージュによる絵は、子どもたちの創作方法として参考になります。
「角を矯めて牛を殺す」ことなかれ。(※)
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※『ボヨンボヨンだいおうのおはなし』 ヘルメ・ハイネ作・絵、ふしみみさお訳、朔北社 2006年
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【 追 記 】
(※) 《牛の曲がっている角をまっすぐに直そうとして、かえって牛を死なせてしまうことから》小さな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまうたとえ。 『デジタル大辞泉』 (2021/7/23)