ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ベンジーのもうふ』- 「ぼくは、もう おおきいんだもの」

子どもの愛着物を描いています。ベンジーの場合は、タイトルにあるように「もうふ」です。「もうふ」はどうなるのでしょうか。ベンジーの成長を見ましょう。

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あかちゃんのときの毛布が大好きなベンジー

いつも持ち歩いています。

 

 絵本を読んでもらうときも、

 幼稚園にも、

 散髪屋さんにも、

 歯医者さんにも、

 寝るときも、

 もうふを放しません

         

ベンジーの「もうふ」のことを

おとうさんは、すこしだけわかってくれます。

おにいさんは、ぜんぜんわかってくれません。

おかあさんは、よくわかってくれています。

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毛布を持ち歩くことを理解しない人もいます。

お隣のトルーディーさんです。

「ぼろぼろじゃない。いつすてるの?」と言っています。

トルーディーさんは、最近子ねこをもらいました。よく鳴く子ねこでした。 (この子ねこが伏線です。)

ある日、トルーディーの子ねこのことが話題になりました。おとうさんとおにいさんは、子ねこの鳴き声で眠れなかったのです。その日、ベンジーもうふのことを忘れてばかりです

 

 トルーディーさんと話した時も、

 幼稚園が終わったあとも、

 新しい靴を買った時も、

 スーパーマーケットのレジでも、

 もうふを忘れてしまいました。

 (どうしたんでしょう。)

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トルーディーさんのところへ遊びに行くベンジー 。 毛布もいっしょに持っていきました。そして、家に帰ったベンジーは言います。

「トルーディーのこねこ、もうなかなくなったよ」

 ( なぜだか、もうおわかりですね。 )

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子ねこは、ベンジーの毛布にくるまって幸せそうです。

ぼくのもうふ あげたの。・・・ぼくは、もう おおきいんだもの

ベンジーは誇らしく言います。

子どもの愛着物を描いた絵本には、ジョン・バーニンガム『 もうふ 』(谷川俊太郎訳、冨山房)やケビン・ヘンクス『 いつも いっしょ 』(金原瑞人訳、あすなろ書房)があります。どちらもこのブログで紹介しました。

 

バーニンガムの『 もうふ 』を紹介したときに書いた、愛着物についての文章を引用します。「子どもは、親への依存と愛着を感じつつも、現在の状況から一歩踏みだそうとしています。自立するこころと依存するこころ。「愛着物」は、こうした内面の対立をやわらげ、子どもの能動性をたすけるもの。それは、子どもにとって、わらい、なぐさめ、いかり、はげまし、共感してくれるものなのです」。

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※『ベンジーのもうふ』 マイラ・ベリー・ブラウン作、ドロシー・マリノ絵、まさきるりこ訳、あすなろ書房、2010年  (2022/4/10)

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