バルバルさんは床屋さんです。
バルバルさんのところにやって来る不思議なお客たちのはなしです。
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ある朝、
お店にきたのは、らいおんです。
「きょうは いかがいたしましょう」
「たてがみが すっかり からまってしまって こまっているんだ」
「すこし みじかくしましょうか」
「うん まかせるよ」
そして、すっきりした髪に
らいおんは、満足してかえりました。
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つぎの客は、
わにです。
「きょうは いかがいたしましょう」
「かみのけは ないんですけど けをはやす ほうほうは ないですか」
バルバルさんは、かつらを出してきました。
派手、
地味、
と注文の多いわにです。
「これ これ これが いい」
「よく おにあいですよ」
ひつじ は
メルメルさんのいぬ(プードル)のようにしてほしい、と注文します。
はさみとカミソリで、
チョキ チョキ チョキ チョキ
ショリショリ ショリショリ
「これでいかがでしょうか」
「まあ すてきだわ」
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どろんこの りすは、シャンプーをつけて洗います。
ブクブク シュルシュル
ブクブク シュルシュル
「さあ おわりましたよ」
「バルバルさん、ほんとうに ありがとう」
きょうは これでおしまい。
へんな1日でした。
バルバルさんが、看板を見ると
「どうぶつの」と へたくそな字が書いてあります。
「とこや バルバル」が、
「どうぶつの とこや バルバル」になっています。
でも、バルバルさんは、その看板をそのままに しておきました。
(だれがいたずらしたの?)
(絵に描かれています。さるです。)
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遊び心やユーモアがいっぱいの絵本です。床屋が苦手な子どももいることでしょう。シャンプーや はさみで髪を切られるのが嫌いな子も、らいおん、わに、ひつじ、りすの姿を見れば、床屋にいってみたくなるかもしれません。
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※『バルバルさん』乾栄里子作、西村俊雄絵、福音館書店 2008年 (2020/3/22)