カールとは、ミミズのことです。
ミミズと聞いて、「わたしは、ムリムリ」という人もいることでしょう。
でも、絵本のカールを 見てください。
カールは、
土をほり、トンネルをつくり、
枯葉をたべては、出しを くりかえして、くらしています。
すると、
土は、えいようたっぷりの 土になります。
「どうして きみは そんなこと しているの」
野ネズミはききました。
「どうしてだろう?」
カールは、
自分が、なぜ土を掘り、土をやわらかくしているのか、知りたくなりました。
ウサギ
キツネ
リス
たぬき・・・
に たずねました。
「なんのために?」「だれのために?」「どうして?」
でも、わかりませんでした。
こたえなんて みつかりっこないよ
と、カールは がっかりしました。
オサムシが、餌が見つからないで 泣いています。
カールが 土をつっつくと、
土は、カッチカチ。
岩みたい!
そうか、
ぼくには やらなくちゃならないことがある。
カールは、
何か月も
土を むしゃむしゃと、たべては出し、たべては出し、
トンネルを 掘りつづけました。
土は、ふんわりやわらかになり、
種からは 芽がでました。
クローバーの花も 咲きました。
ウサギ、リス、キツネも 戻ってきました。
・・・
わたしは、どうして ここにいるのか? 「なんのために?」「だれのために?」「どうして?」と問う、ミミズのカールの問いは、あなたの問いでもあります。カールは、土を掘り栄養豊かな土地にする、たいせつな役割をになっていました。そして、草花が育った草原に、ウサギ、リス、キツネが戻ってきます。作者は「あとがき」で、「すべての生き物がつながっているのです」と言っています。
おはなし絵本の形式をとっていますが、科学の絵本でもあります。
ミミズを研究していた、ダーウィンの言葉もあります。
「ミミズのように体のつくりが簡単な下等生物で、
地球の歴史にこれほど重要な役割を果たしてきた生き物が
他にいるかどうか・・・まずいないだろう」
・・・
※『カールは なにを しているの?』 デボラ・フリードマン作、よしいかずみ訳、BL出版 2020年 (2024/3/5)