節分の日。
みんなの幸せを祈り、
「オニは そと。ふくは うち」。
ここまでは、例年通りです。
でも、ことしの豆は、よく考える豆たちでした。
( 豆も考えるんだ。)
・・・
一番目の豆は、考えました。
オニのお面をつけている人は、いつもは普通のおじさんだ。
「ほんものの わるい オニが いる。どうせなら、ぼくは そっちを たいじ しよう」
(えらい!)
・・・
まめは、自転車を盗もうとする犯人をみつけました。
ほんものの悪いオニです。
(この言い方、なんとなく可笑しい)
まめは、
コツッ!
体当たり。
犯人は泣きながら逃げていきます。
あっぱれ、一ばんめの オニたいじです。
二番目の豆たちも、考えました。
ほんもののオニと勝負しよう。
豆たちは、
スポッ! スポッ!
銀行強盗の鼻に体当たり。
命中です。
「いたい! はなが くるしい」
犯人たちは逃げて行きます。
あっぱれ、二ばんめの オニたいじです。
・・・
三番目の豆たちも、考えました。
アフリカの平原でサイを密猟しようとする三人に体当たり。
あっぱれ、三ばんめの オニたいじ。
豆たちは、
つぎつぎに飛び出します。
豆たちは、地球を侵略しようとする宇宙人に 体当たり。
「はんざい! ちきゅうを まもったぞ」
あっぱれ、四ばんめの オニたいじ。
あっぱれ、
あっぱれ。
(ナンセンスっぽい感じになったきた。)
節分の豆が、お面をつけた「オニ」ではなく、世の中の「オニ(鬼)」を退治しようとしています。豆も考えるんです。そして、宇宙にまで飛びだしていきました。勧善懲悪のおはなしですが、最後はぐーんとスケールが大きくなりました。ユーモアがあり、スカットとする絵本です。
豆には顔がありましたが、その表情が笑えます。子どもは、豆の人物像に親しみを感じることでしょう。でも、おとうさんが扮する「オニ」はすこし怖いかもしれません。今年の節分は2月 3日(月)ですので、この日の前後が読み頃ですが、季節にこだわることもないように思います。
また、このような絵本を読みますと、子どもの頃に感じていた季節感がよみがえります。
・・・
※『 オニたいじ 』 森絵都作、竹内通雅絵、金の星社 2012年 (2020/1/31)