有名な イソップ物語です。
・・・
ライオンが、
ねずみを 捕まえました。
ねずみは、逃がしてくれるように頼みます。
ご恩は お返ししますと。
ライオンは、ねずみを 放してやりました。
・・・
そのあと、ライオンは、人間の罠に かかってしまいます。
ライオンの 叫び声を聞いた ねずみは、網をかみきり、ライオンを助けたという おはなしです。
情けは人の為ならず。
おはなしの筋は、このとおりですが、この文章はありません。絵本のことばは、オノマトペだけです。そこに、工夫があります。
・・・
ホー、ホー、ホホー
キキーッ
ガルルル、
チュウ チュッチュ チュチュウ チュウ ……
ガオーッ ワオワオ ウワーオ ガーオ ガオーツ
ザリザリ ザリザリ ・・・
絵が、物語を語っています。そして、ねずみとライオンの生きる世界を リアルに描きます。読者( 読み手 )が、ここからおはなしを紬だすという しかけです。読者が参加することで、絵本の世界がさらに生き生きとしてきます。読者それぞれの おはなしが、絵のなかに潜んでいるとも言えるでしょう。そのため、絵は、細部までしっかりと描いています。絵を見るだけでも たのしい絵本です。また、よく見ると、かれらの家族も描かれていて、おはなしに深みをあたえています。(下図) 2010年のコルデコット賞受賞作品です。
※『 イソップものがたり ライオンとねずみ 』 ジェリー・ピンクニー作・絵 さくま ゆみこ訳 光村教育図書 2010年 (2016/6/22)