むかし、仲睦ましいきこりの夫婦がいました。
しかし、
はたらいても
はたらいても 食べ物がじゅうぶんにありません。
・・・
ある日、
夫婦が 森で木を切っていると、
たすけてくれぇ の声。
夫婦は、
木にはさまれていた 子鬼を助けました。( 下の絵 )
かんしゃ かんげき あめ あられ。
子鬼は、しっぽをぐるんとまわして言います。
おかえしに、願いをかなえてやろう。
でも、三つだけ。
ふたりは 考えます。
服にするか、
お金にするか、
お屋敷にするか、
ろばににするか、
荷馬車と馬にするか、
宝石箱にするか・・・
だが、とりあえず、
おらは ばんめしに なべにいっぱいの ソーセージが ほしいぞ
そのとたん、
暖炉の中で、ソーセージのジュージュー焼ける音がします。
あんた、ばかじゃないの!・・・
こんなソーセージなんか、
あんたの そのだんごっぱなに くっついちまえばいいんだわよ!
おかみさんが言ったとたん、ソーセージは、
きこりの鼻に。
あ~あ、 もう、 ねがいをふたつ つかってしまった!
のこりは ひとつ。
どうする?
・・・
ふたりは
考えたすえ、
手をあわせ、3つめの願いごとを。
どうか はなから ソーセージを とってくださいまし。
そして、ふたりは、ソーセージをたらふく食べたというおはなし。
・・・
ソーセージが鼻につくことは、たいへんな事態です。でも、やっぱり、おかしい。深刻さと滑稽さが同居しています。願いが実現することで、思わぬ災いを招いてしまうという事態であり真実です。おはなしの世界だけでなく、現実の世界にもありそうなことです。ソーセージが鼻につくことはありませんが。 禍福はあざなえる縄の如し。
・・・
※『みっつのねがいごと』 マーゴット・ツェマック文・絵 小風さち訳 岩波書店 2003年 (2017/5/18)