子どもにとって「学校」とは、どのようなところなのでしょうか?
そのような疑問にこたえてくれる文と絵です。
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うちにいるとぼくは「ぼく」でいられるけど、
学校では生徒
おおぜいのひとり。
学校は うちじゃない
先生は お母さんじゃない
学校の上にも空がある
海がみえる
学校には広い庭がある
いろんな花が咲く
図書館には本がいっぱいある
友だちがいる
嫌いな友だちがいる
でも、嫌いな友だちが好きになることもある
がっこうへ行きたくない日がある
楽しい日がある
夜になると
学校はひとりぼっち
さびしそう
いつか学校と別れる日がくる
ぼくはすこしずつおとなにちかづいていく
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小学校での6年間は、大人になっての6年間とくらべて、ずいぶん長かったように思います。あたらしい体験がたくさんあったからかもしれません。絵本の「ぼく」も、友だちとであい、多くのことを知り、さまざまな経験をして、成長していきました。
また、小学校には様々な家の子が集まってきます。それを知ることは、世の中を知る第一歩です。そして、「ぼく」は、小学校を卒業し、大人に一歩ずつ近づいていきます。
ところで、絵本のいくつかの場面に「サメ」が描かれています。嫌いな友だちが好きになったのも「サメ」がきっかけでした。絵にそれが表現されています。絵がもうひとつの物語をつくっています。
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※『ぼくとがっこう』 谷川俊太郎文、はたこうしろう絵、アリス館 2021年 (2023/3/1)