はやく おおきくなりたい ひよこのはなしです。
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あるところに
とても 小さなひよこが いました。
かあさんは ひよこを とても かわいがっていました。
「ぼく、うんと おおきいよ」
えらそうに 頭を もちあげ あるくんです。
― ほうら、こうやって。
ある日
まっくろい ねこがやってきました。
― ほうら、こんなに こわそうな ねこが!
とうさんの おんどりが 助けてくれました。
「コッ、コッ、コケコッコー!」
ひよこは とうさんのまねを します。
「ピッ、ピッ、ピヨピヨ!
ぼくだって つよいんだぞ!」
そのとたん―
ぴしゃん!
みずたまりに 落ちてしまいました。
― ほうら、こんなふうに。
「もっと もっと おおきく ならなくちゃ、
おんどりさんには なれないね。」
かえるが、言いました。
かあさんは、ひよこを やさしく なでて くれました。
(仕掛けのページをめくると)
子どもたちは、大きくなりたいひよこに共感することでしょう。また、「コッ、コッ、コケコッコー!」「ピッ、ピッ、ピヨピヨ!」のオノマトペも、子どもの興味をひきます。ひよこの成長をあたたかく見守る、両親のにわとりです。守られているひよこです。ねこにおそわれる危機もありますが、安心・安定した世界です。
時間軸にそった、「そして」「そして」の 明快なストーリーがあります。「 ― ほうら、こんなふうに」と言うように、語り手がおはなしの参加し、読者をひよこの世界に誘います。あかちゃん絵本から一歩をふみだした子どもにぴったりの絵本です。おはなし絵本の入り口にある絵本だといえます。
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※『ひよこ』 チュコフスキー作、岩本康之亮絵、宮川やすえ訳、ひさかたチャイルド 2005年 (2024/2/25)