「アナトール、工場へ行く」というタイトルで、小学校4年生の国語の教科書に載った絵本です。
主人公の アナトールは、フランスで いちばん幸せな ねずみ。
でも、なぜでしょうか?
・・・
妻のドーセットと6人の子どもたちと暮らしている アナトール。
毎日、夕やみがせまると、
アナトールたちは、自転車で パリ へ。
食べ物をさがしにでかけます。
ある夜、
ねずみのアナトールは、人間の言葉を耳にしました。
「なんていやらしい ねずみだこと!」
「ねずみは、生まれつき悪なんだ!」
アナトールは、大ショック。
ぼくの 自尊心はどうなるの ?
ぼくの ほこりは ?
ぼくの めいよは ?
友人のガストンは、肩をすくめて 言います。
そんなものわすれちまいな、アナトール。
それが 人生ってものさ。
( C’est la vie と言ったんでしょうね。 )
・・・
なにか、お返しができればいいんだけど、
奥さんのドーセットの言葉に、アイディアが浮かびました。
夜、
アナトールは、デュバルチーズ工場へ忍びこみます。
さいこうに おいしい
とても おいしい
おいしい
あまり おいしくない
まずい すてなさい!
のカードをもって。
・・・
アナトールだけができる仕事。それは、チーズの味見役。
アナトールは、チーズの試食室で、カードをチーズにさしていきます。
カマンベール、
うーん、これは かくべつだ!
さいこうにおいしい のカードを ピンでさしました。
その後、デュバルさんのチーズ工場は大繁盛。
・・・
奥さんのドーセットと子どもたちは 言います。
あなたは、世界一 賢明な ねずみだわ !
とうさん えらいんだ !・・・
りっぱな 仕事ねずみなんだね !
みんなに喜ばれることは、彼にとって最大の報酬であり一番の幸せです。
・・・
※『ねずみのとうさんアナトール』 イブ・タイタス文 ポール・ガルドン絵 晴海耕平訳 童話館 1995年
【 追 記 】
光村図書の「国語」の教科書(4年上)のものは田谷多枝子訳です。「アナトール、工場へ行く」というタイトルで、平成4年~平成11年まで掲載されました。