写真家イーラとマーガレット・ワイズ・ブラウンのコンビによる写真絵本の第1作(1944)です。表情豊かなどうぶつたちの写真と詩的な文章の絵本です。
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どうぶつたちは みました!
最初に見たのは アシカ。
シカも見ました。
おんどりも。
こねこも。
(なにを見たのでしょうか? 読者は知りません。)
しろくまは、まだ見ていません。
でも、
カバは ばっちり 見ました。
こいぬは びっくり。
(典型的な「人物は知っているのに、読者は知らない」パターン)
あかちゃんたちは、お母さんの腕のなかで、見ました。
こねこ。
サル。
こうしも、見ました。
(いったい、みんな なにを見たのでしょうか)
うまも
うさぎも
りすたちも
2頭のきりんも 見ました!
その正体は?
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これです!
黄金のつばさをもつ 灰色のぞう。
連続した写真は、数珠玉のように繋がっています。
イーラの写真をもとに、マーガレット・ワイズ・ブラウンが文をつけました。動物たちのひとつひとつの写真に言葉と文が与えられています。意味づけられたことで、動物たちの写真はさらに生き生きとしています。
おはなしはひとつの焦点・結論にむかっていきます。その焦点にあるのは「黄金のつばさをもつ灰色のぞう」。動物たちが何を見ていたのか、読者は気になっていましたが、動物たちの視線の先にあったのは、この「ぞう」でした。ユーモアと笑い、ナンセンスの味わいもあります。
絵本は最後に言っています。
おうごんの つばさをもつ
はいいろの ぞうが
ドシン ドシンと やってくる
こんなことが あるんだから
どんなことだって あるんです
同感です。
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※『どうぶつたちはしっている』 イーラ写真、マーガレット・ワイズ・ブラウン文、寺村麻耶子訳、文遊社 2014年 (2020/6/12)