ふるはしかずおの絵本ブログ3

『とびきりおいしいデザート』- 人と人とのつながりを描いた物語 

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「ブラックベリー・フール」というデザートの 作り方に関する 4つの時代の4つのおはなし。1710年、1810年、1910年、2010年では、どのように作っているのでしょうか。
ホイップクリームは?
冷やすのは、どうしていたのでしょうか?
・・・
1710年
イギリスの ライム。
女の子お母さん が、野原で ブラックベリーを摘みます。
牛の乳からすくった クリームを まぜます。
小枝をたばねた あわだて器。
シャカシャカ。
シャカシャカ。
シャカシャカ。(15分かかります)

ブラックベリーをつぶして、砂糖をいれ、ホイップクリームに流しこみ、まぜあわせます。できあがった ブラックベリー・フールを 氷でひやされた 丘の穴ぐらに。
晩ごはんは コールドチキン、ミートパイ、
そして、ブラックベリー・フール。
わぁ、すごくおいしいね!
・・・
1810年 サウスカロライナ州、チャールストン。
ブリキの あわだて器。(10分かかります)
冷蔵するのは、氷でひやした 地下室の木の箱

1910年 マサチューセッツ州、ボストン。
ハンドルのついた 鉄の あわだて器。(5分かかります)
冷蔵するのは、氷でひやした 木の冷蔵庫

2010年 カルフォルニア州、サンディエゴ。
ブラックベリーと生クリームは、
スーパーマーケットで買います。
男の子お父さん が つくります。
電動の あわだて器。(あっというまです)
冷蔵するのは、電気冷蔵庫

時代と場所を変えて、ブラックベリー・フールの作り方についての 4つのおはなしでした。
人物、
材料の入手方法、
生クリームの 泡立てかた、
道具、
保存のしかた、
食事の風景は、みんな違いますが、ブラックベリー・フールの味は、みんな同じ。
おいしいね!
しあわせな味がします。でも、1810年のサウスカロライナ州の場面には、奴隷制のことが、絵できちんと表現されています。
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この本は、家庭でつくる おいしいデザートを通して、人と人とのつながりを描いた物語です。」(エミリー・ジェンキンス)

デザートの作り方を題材にして、人と人とのつながり、当時の生活と風俗を描いているところが、この絵本の魅力を高めています。服装や食事の風景など、画家は細心の注意を払い描きました。また、さまざまな人種の人が集い食事をともにする2010年の場面(上の絵)に、絵による補足と発展がみえます。この絵が暗示する多様性を認める価値観に未来をみます。巻末にブラックベリー・フールの作り方もあります。
・・・
※『とびきりおいしいデザート』 エミリー・ジェンキンス文、ソフィー・ブラッコール絵、横山 和江訳、あすなろ書房 2016年 (2017/8/4)

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